夏はここに大金をつぎ込むべきだ
チェルシーやインテルで成功を収めた名将がピンチに陥っている。トッテナムを指揮するアントニオ・コンテ監督のことだ。
昨季はインテルでリーグ優勝を収めるも、フロントと対立し、フリーとなっていたコンテ。そこにヌーノ・エスピリト・サントを解任したスパーズが声をかけ、昨年の11月に就任することになった。その後は順調そのものだった。カンファレンスリーグでは奮わなかったが、国内では負けなしを継続し、新年となったリーグカップのチェルシー戦まで無敗を継続した。しかし、そこからが苦しく、現在はリーグ戦3連敗となっている。
このような現状を招いてしまったのは多くの要因が考えられるが、一つ気になるのは守備陣の安定感のなさだ。失点が多く、クリーンシートは1月のワトフォード戦まで遡ることになる。
攻撃をある程度、跳ね返す力は持っているコンテ・スパーズだが、後方からのビルドアップが致命的にできない。特に右サイドは苦しく、ウルブズ戦ではダビンソン・サンチェスとマット・ドハーティ、ハリー・ウィンクス間でミスが多発し、カウンターを受ける場面が散見している。
シーズン後半戦はビルドアップでのミスを減らすことが一つの目標となる。しかし、限界もあり、両ウイングバックとセンターバックにはテコ入れが必要か。
WBは左にセルヒオ・レギロン、ライアン・セセニョン、右にエメルソン・ロイヤル、ドハーティがいるのだが、これといった頼れるWBがいない。コンテがこれまで率いたチームはWBが攻守のカギを握っており、だからこそ、そのポジジョンには実力者を配置している。インテル時代のアクラフ・ハキミがその例だろう。しかし、現状でのメンバーは実力不足であり、補強が必須だといえる。
CBもクリスティアン・ロメロとエリック・ダイアーは頼れる存在だが、復調傾向にあったベン・デイビスは再びパフォーマンスを落としており、サンチェスは以前から変わらずよくない。守備の安定はチーム全体の安定につながっており、今のままでは上位進出は難しい。指揮官であるコンテも英『90min』にて「今のパフォーマンスでトップ4入りするのは不可能だ」とコメントしている。
今冬の移籍市場では守備陣ではなく、中盤とFWの補強を行ったスパーズ。デヤン・クルゼフスキ、ロドリゴ・ベンタンクールと悪くない補強だったが、守備陣にも目を向ける必要があったようだ。