誰がここまで活躍すると予想したのか
クラブを指揮したロイ・ホジソンが退任し、新監督にパトリック・ヴィエラを迎えたクリスタル・パレス。アンドロス・タウンゼントのようなベテラン選手を放出し、生まれ変わったパレスだが、開幕前は不安の声が多かった。前述した頼れるベテランたちの放出もそうだが、監督であるヴィエラはここまで大きな成功を収めていない。以前までチームを率いていたフランスのニースでは成績不振で解任されており、プレミアは荷が重いのではとの批判もあった。しかし、シーズンが始まってみればパレスに期待する声の方が多い印象だ。
その一つの要因は、若手を中心とした路線変更にあるだろう。チームを後方から支えるセンターバックにはマーク・グエーイ(21)とヨアキム・アンデルセン(25)を加え、前線には攻撃で違いを生み出せるオドソンヌ・エドゥアール(23)とマイケル・オリーズ(20)を獲得している。どの選手も文句なしの活躍を見せているが、特に輝きを放っているのが、コナー・ギャラガー(21)だ。
チェルシーの育成で育ったギャラガーはプレミアやイングランドの実質2部であるチャンピオンシップでローン移籍を繰り返しており、今季からパレスに加わっている。チームでは主に[4-3-3]のインサイドハーフで起用されており、豊富なスタミナを生かして攻守に躍動している。今季は特に得点力が開花しており、既に6ゴールを決め、チームの得点王として攻撃をけん引している。
「フランク・ランパードを思わせる高品質なフィニッシュを見せている」(英『Daily Mail』より)
ギャラガーが2ゴールを決めたエヴァートン戦のあとにインタビューに答えたヴィエラは、素晴らしいミドルシュートを沈めたギャラガーをチェルシーで活躍したランパードのようだと高く評価している。実際にボックス外からのシュートは元イングランド代表MFが得意としていたプレイであり、同時期にプレミアリーグで戦っていたヴィエラからすれば何か懐かしいものを感じたのか。
早くも今冬でのブルーズ復帰が囁かれているギャラガー。チェルシーとしてはエンゴロ・カンテの負傷もあり中盤は人材不足だが、パレスはここでギャラガーが抜けるとなると、降格圏まで落ちる可能性も考えられる。チェルシーが判断することではあるが、2022年は何色のユニフォームに袖を通すことになるのか。