あの豪州戦の衝撃ミドルは忘れられない 井手口《2度目》の海外挑戦は代表への扉を開くか

日本代表でも期待されていた井手口 photo/Getty Images

セルティックからの関心が噂される

横浜F・マリノスFW前田大然、川崎フロンターレMF旗手怜央に続き、スコットランドの名門セルティックからの関心が噂されるのがガンバ大阪MF井手口陽介だ。

この話題に驚いた日本のサッカーファンもいるだろう。ここ最近もA代表に招集されてきた前田、旗手に対し、井手口は2019年に行われたEAFF E-1サッカー選手権以降は代表でプレイしていない選手だからだ。

ただ、井手口はヴァイッド・ハリルホジッチ前日本代表監督から抜擢され、2017年8月に行われたワールドカップ・アジア最終予選のオーストラリア戦にて強烈なミドルシュートも叩き込むなどポテンシャルは高い。
あのミドルはボールを奪ったところからのショートカウンターのキレ味、井手口のミドルシュートの威力と精度など、日本代表史上屈指のビューティフルゴールだったと言えるのではないか。あの一撃はそう簡単に忘れられるものではない。

確かに、井手口はその後の欧州挑戦で失敗したかもしれない。2018年冬にイングランドのリーズ・ユナイテッドと契約したところからスペイン2部のクルトゥラル・レオネサにレンタル移籍したが、残念ながらこの1度目の海外挑戦は良い結果を生まなかった。

出番も少なく、その後移籍したドイツ2部のグロイター・ヒュルトでは右膝の靭帯を痛める不運もあった。

しかし、この1度目の海外挑戦はタイミングと移籍先が悪かっただけとも言える。井手口の才能が否定されたわけではない。あのままガンバでプレイを続けていれば2018年のワールドカップ・ロシア大会ではメンバーに入っていた可能性もあり、どこかリーズとの契約を急ぎすぎた感もある。

現在所属するガンバから再びの代表入りを狙うのも手だが、今の代表の中盤にはシュツットガルトMF遠藤航、ポルトガルのサンタ・クララでプレイする守田英正、ドイツ2部のデュッセルドルフ挑戦を選んだ田中碧など海外組が多く、今季13位止まりだったガンバから代表入りへ繋げられるかは微妙なところ。

来年のワールドカップまで残り1年。タイミングとしてはリーズと契約を結んだ約4年前と少々似ているが、セルティックで結果を出せれば森保一監督の目にも留まるかもしれない。年齢もまだ25歳と若く、今から欧州へ向かっても遅くはない。

また、現在セルティックは当時オーストラリア代表監督として井手口の衝撃ミドルを間近で見せられたアンジェ・ポステコグルーが指揮しており、横浜F・マリノスでの指揮経験を含め井手口の特長は嫌でも頭に入っているはず。全くの未知なる環境だったクルトゥラル・レオネサに比べ、セルティックならばコミュニケーションを取りやすいFW古橋亨梧もいてくれる。前回の海外挑戦に比べればポジティブな要素は多い。

現代表の中盤は海外組こそ多いが、遠藤を除けば確固たる地位を築いている者はいない。ハリルホジッチ前監督にも評価されていたデュエルの部分や推進力を欧州でも発揮できれば、井手口にもポジション奪取のチャンスは巡ってくるはず。

ロシア大会以降は話題に上がる機会も少なくなっていたが、25歳の井手口に再び動きがあるのか。才能ある選手だけに、是非とも世界で輝いてほしい。

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