今季のレイソルにおける“最大級の収穫” 攻撃型SBとして大きく成長した大南拓磨

2021年シーズン、新たな役割を任され大きく飛躍を遂げた大南 photo/Getty Images

序盤戦の評価は完全に覆した

2021年シーズン序盤戦こそ不安定な面を垣間見せていたものの、この1年間で柏レイソルの若き大型DFは非常に大きな成長を遂げることとなった。その大型DFとは、今季後半戦に新境地を開拓して一気に頼もしさが増した大南拓磨(23)だ。

今季開幕当初は4バックシステムのセンターバックとして出場を重ねるも、守備面でどうしても不安定な部分を垣間見せていた大南。身体能力は高いのだが、なかなかその強みを活かしきれていない。チームの負けが込むなかで、そんなことを感じていたファンも多かったことだろう。

しかし、そんな大南は今季途中からネルシーニョ監督に新たな活躍の場を与えられ、めざましい成長を遂げることに。かねてよりの持ち味だった攻撃力をより生かすため、シーズン途中からは本格的に右サイドバックやウイングバックといったポジションに挑戦。すると、最初は少し不慣れな面を見せることもあったが、時間の経過とともに大南はチームでの随一の信頼度を誇る主力へと成長した。機を見たインナーラップの威力は抜群で、勝負どころで前線に顔を出せば常に得点に絡む。身長184cmのサイズを備えながら、スピードも兼ね備えた彼は、今や対峙する相手にとって非常に厄介なサイドプレイヤーになったと言っていい。

そして、大南は4日に行われた明治安田生命J1リーグ最終節の大分トリニータ戦でも、自分の持ち味を生かして得点に絡んだ。2点ビハインドの53分、中央の味方から右サイドに展開されたボールを受けた同選手は、フォローのために近づいてきたマテウス・サヴィオに一旦ボールを預けると、巧みなフリーランニングでそのままゴール前へと侵入。大外のレーンを駆け抜けるかと思いきや、大南は急激な方向転換でポッカリと空いていたハーフスペースに入り込んだのだ。その後、再びボールを受けてから放ったシュートはGKに防がれたものの、柏はそのこぼれ球を戸嶋祥郎が押し込んで1点返すことに成功。記録上は戸嶋の得点だが、このゴールに対する大南の貢献は計り知れないものだった。

以前は果敢にオーバーラップしても、味方との呼吸が合わずに単騎での突破を図ることとなってしまう場面も散見された大南。だが、新たなポジションに慣れてくるとともに、彼はSBという役割の中でも自身の持ち味を出せるようになった。今季の柏で1,2を争う収穫となった大南のコンバート。来季も若き大型DFのさらなる成長には期待したいところだ。

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