冨安は本当にサンチョを封じ込めたのか? PK献上のシーンから分かる個での限界

軒並み評価の高かった冨安 photo/Getty Images

英紙では高評価の冨安

プレミアリーグ第14節アーセナル対マンチェスター・ユナイテッドの一戦が行われ、2-3でガナーズの敗戦となっている。エミール・スミス・ロウのボックス外からのミドルシュートで先制するも、最終的にはリードを守れなかった。

その中でも右サイドバックで先発を果たした日本代表のDF冨安健洋は、高いパフォーマンスを披露したと称賛されている。英『90min』では対峙するジェイドン・サンチョを封じたと好評価を得た。

このようにイングランドの強豪マンU相手にも自身の良さを見せられた冨安だが、本当にサンチョを封じ込めたのか。確かにドリブルで抜かれたシーンは見られておらず、対人戦では無類の強さを誇ったのかも知れない。しかし、マルティン・ウーデゴーがPKを献上したシーンでフレッジにボールを出したのは冨安にマークされていたサンチョだ。これでは封じたとはいえないだろう。

この試合のサンチョは巧みだった。冨安にドリブルでの突破が通じないと見ると、仕掛けずにパスからチャンスを生み出すスタイルにシフトチェンジしていた。これで無理にドリブルを仕掛けることも減っており、ボールをロストせずに左サイドからアーセナルを押し込むことに成功している。

もちろん、冨安がサンチョのパスも封じたいのだが、他選手との連携が必要であり、個人では限界がある。PK献上のシーンも、ウーデゴーがフレッジを一瞬見失ったことでボックス内に進入させてしまい、不用意なタックルがファウルとなってしまった。ウーデゴーの判断ミスではあるが、センターバックの位置にいたトーマス・パルティの声掛けがあれば防げた可能性のあるシーンであり、何よりトーマスが下がりすぎてしまっている。ボックス内に相手の3列目の選手が飛び出してくるのは、容易に想像できる場面であり、守備時のルール強化を検討する必要がある。

対人でサンチョを封じるもパスで仕事をさせてしまった冨安。対応が難しい相手ではあるが、プレミアで上位を目指すのであれば、こういった相手も封じ込める必要がある。チームでの守備の成熟とともに、今後の成長に期待だ。

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