[名良橋晃]J2を舞台に成長する有望株 旬な6名を見逃すな!

児玉駿斗、梅田透吾、宮崎純真 いずれも現在進行形で成長中

児玉駿斗、梅田透吾、宮崎純真 いずれも現在進行形で成長中

18年当時は名古屋でプレイしていた児玉。現在は相模原で覚醒しつつある photo/Getty Images

 J1で川崎の優勝が決まりましたが、残留争いは続いています。J2、J3も激しい順位争いになっていて、7日にはJ2上位対決の磐田×京都が行われ、1-0で磐田が勝利しました。最後まで目が離せない一戦で、お互いの特長がいかんなく発揮された極上のエンターテインメントでした。

 この試合に限らず、私は以前からJ2を観戦することが多いです。そこで今回は、J2フリークとして「いま注目してほしいJ2で活躍する若手」を紹介します。たくさんいるのですが、ここでは旬な6名をピックアップします。

 児玉駿斗(相模原)はボールタッチが柔らかく、技術力が高いです。第32節水戸戦では途中出場で2得点し、4-4という結果をもたらしました。想像力あるプレイをみせてくれるファンタジスタで、途中出場でアクセントをつけられます。
 東海学園大時代に名古屋の特別指定選手になっていて、そのころから気になっていました。今シーズン途中に育成型期限付き移籍で相模原に加わり、途中出場で違いをみせてくれています。まだ先発はないですが、見守っていきたい選手です。

 昨シーズンJ1清水で17試合に出場した梅田透吾(岡山)は、育成型期限付き移籍で今シーズンは岡山でプレイしています。総合力の高いGKで、第19節琉球戦から先発フル出場を続け、安定感ある守護神としてチームを支えています。足元の技術力が高く、ビルドアップができます。反応が早くシュートストップの能力も高く、GKに必要な力をすべて兼ね備えています。

 清水ユースの出身で、ロティーナさんの後任である平岡宏章監督の教え子です。いずれは清水の守護神にと期待されていますが、日本代表の権田修一を越えなければならず、そのカベは相当に高いです。しかし、それだけの能力を持っている将来性のあるGKです。

 宮崎純真(甲府)は久しぶりに本格派が出てきたなと感じさせてくれます。シュートの意識が高く、思い切ったミドルシュートで得点しています。泉澤仁がケガで離脱したことで甲府はシャドーのポジションをどうするのか心配されましたが、がむしゃらなプレイでその穴を埋めるとともに自身の成長へとつなげています。

 もともと東京の子ですが、山梨学院大附属高出身であり、サポーターからの期待も熱いです。過去、甲府は伊東純也、稲垣祥、佐々木翔といった日本代表を輩出してきました。宮崎純真がどんな選手に進化するかとても楽しみです。また、甲府には生粋のヴァンフォーレっ子である内藤大和というすごいFWがいます。まだ17歳の高校2年生ですが、今シーズン2試合に出場しています。プレイをみる機会があったら、ぜひ注目してほしいです。

植中朝日、榎本樹、田中渉 未完成で将来が楽しみ

植中朝日、榎本樹、田中渉 未完成で将来が楽しみ

田中は仙台から山口に移籍し、試合出場を重ねている photo/Getty Images

 植中朝日(長崎)は初先発となった第25節山形戦でハットトリックを達成するなど、後半戦になって得点を量産している嗅覚に優れた本格派ストライカーです。ポジショニングが非常によく、自分で仕掛けることができるし、まわりをうまく使うこともできます。決定的な仕事ができるタイプで、第38節を終えて9得点しています。

 試合を読む力、展開を読む力があり、ここという絶妙なタイミングでペナルティエリア内に飛び込み、フィニッシュします。その場に強いというか、実戦に強いのだと感じます。試合に出れば出るほど、結果を残すのではないでしょうか。

 榎本樹(松本)には前橋育英高時代から注目していました。しかし、なかなか頭角を現すことができず、2019年にプロ入りしたものの苦戦していました。一時期群馬に期限付き移籍していましたが、そこでも活躍できませんでした。身体が大きく、高さ、スピードを兼ね備えていて献身的な守備ができます。ロングスローという武器もあり、ポジション変更が画策された時期もありました。

 そうした状況のなか、今シーズン初出場となった第30節金沢戦で初得点しました。不遇だった時期を経て、確実に伸びてきています。前橋育英高時代のインパクトが強く、常に動向を追いかけていましたが、ようやく開花してニョキニョキと出てきました。点を取りはじめていて、FWとして結果を出しつつあります。まだまだ伸びると考えられます。

 田中渉(山口)はかつて仙台でプレイしていましたが、今シーズン途中に山口へ育成型期限付き移籍しました。仙台時代に渡邉晋さんのもとプレイしていた経緯もあり、同士が監督を務める山口に移籍したのだと思います。視野が広く、センスがあります。雰囲気を持っているレフティーで、渡邉晋さんが辞任し、名塚善寛監督となってもボランチで出場を重ねています。残留争いの直接対決だった第38節大宮戦では今シーズン初得点を記録し、勝負強いところをみせました。守備でもっとハードワークできるようになったなら、より伸びると思います。

 紹介した6名はいずれも若いです。まだ完成されていないため、試合に出ることで課題が出てきます。大事なのは、いかに自分自身で改善点とみつめあって修正していくかです。一つ一つのプレイの質を高めていけば、必ずチームを勝たせることができる選手になっていきます。そして、いまのチームを勝利に導けるようになったら、自信を持って次にプレイするチームでも同じ姿勢で取り組むだけです。数年後、各選手がどのように成長しているのか楽しみしかありません。

構成/飯塚 健司

※電子マガジンtheWORLD263号、11月15日配信の記事より転載

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