アーセナルから武者修行へと向かった19歳の逸材MFにとって、今季は成長のシーズンとなるはずだった。しかし、開幕からしばらくの時間が経過したものの、このヤングタレントはレンタル先で出場機会を掴むことができていない。はたして、2021-22シーズンにMFミゲル・アジーズはポーツマスで定位置を獲得することができるのか。
アーセナルのU-23カテゴリでプレイしていた昨季までは、トップチームのFWピエール・エメリク・オバメヤンをして「ミゲルは将来、素晴らしい選手になるだろう。すでに選手として成熟しているし、トップの舞台で成功するために必要なものをあらかた揃えている」とまで言わしめる存在だったアジーズ。近年のアーセナルではエミール・スミス・ロウやブカヨ・サカといった下部組織出身の選手が台頭していることもあって、次は彼の番だと期待していた人も少なくなかったことだろう。
しかし、そんなアジーズの現状は厳しいと言わざるを得ない。アーセナルのトップチームで活躍するための前準備として、今季はリーグ1(英3部)のポーツマスへと向かった同選手。だが、ここまでに出場したリーグ戦はわずか1試合。なかなかゲームには絡むことができていない。アグレッシブな守備と高いパスセンスを武器にガナーズのU-23チームでは中心的な役割を担っていたものの、武者修行先では壁にぶち当たっている状況だ。
そうなってしまった大きな理由は、周囲のレベルの高さにある。現時点ではリーグ1で17位に沈むポーツマスだが、MFの定位置をめぐる争いは思いのほか熾烈となっている。中盤を引き締めるライアン・タニクリフ(28)はタックル数(26回)やクリア数(22回)に加え、空中戦勝率(73.33%)といったスタッツでチームトップの数字を記録しており、ジョー・モレル(24)は地上戦勝率で60.98%というリーグ屈指の数値を叩き出している。そして、35歳のショーン・ウィリアムズもベテランらしい気の利いた守備を前面に出しながら中盤の底に君臨している状況。いくら素材が良いとも、現在進行形で結果を出している中盤戦士たちの間に割って入るほどの力が今のアジーズにはないと言ったところか。
選手としてのレベルアップを図るために出場機会を求めたものの、レンタル先で予想外の展開が待ち受けていたアジーズ。とはいえ、近い将来にアーセナルで出番を得るためには、このまま黙っているわけにもいかない。現状はかなり難しい立場に置かれているアーセナルの有望株だが、はたして彼はここから見事に中盤の定位置を掴むことができるのか。アーセナルの未来を担う若者の巻き返しに期待だ。