昨季、2011-12シーズンから長きに渡り続いていたセリエAの連覇が、ついにストップしてしまったユヴェントス。選手個人に目を向けても、苦戦を強いられた選手が多かった印象だ。ただそんな中で、ユーティリティ性を発揮したDFダニーロや高い推進力で攻撃を牽引したFWフェデリコ・キエーザなど、存在感を示した選手たちもいる。そして、シャルケから加入したアメリカ代表MFウェストン・マッケニーもそのひとりだろう。
マッケニーは昨季、自身初のイタリア挑戦ながら公式戦46試合に出場(6ゴール3アシスト)。チームを率いていたアンドレア・ピルロ前監督が流動的なサッカーをコンセプトとしていたため、持ち味の豊富な運動量が遺憾無く発揮され、攻守にわたって貢献していた。その結果、加入当初はレンタル移籍だったものの、今年3月に完全移籍を勝ち取っている。
途中出場や途中交代も多かったが、初めてのカルチョ、そして22歳という年齢を考えると、昨季のマッケニーは「よくやった」というべきだろう。2年目以降のさらなる活躍に期待を寄せているファンも、少なくないように思う。しかし、そんなマッケニーがここにきて、わずか1年でユヴェントスを退団する可能性があるというから驚きだ。
伊『sky sport』などによると、今夏の移籍市場において、ユヴェントスはすでにいくつかの国外クラブからマッケニーに対するオファーを受け取っている模様。これまでは売却を全く検討していなかったようだが、先日、念願であったイタリア代表MFマヌエル・ロカテッリをサッスオーロから獲得したこともあり、適切なオファーが届けばマッケニーの売却を視野に入れるという。もしかしたら、復帰の噂が絶えないミラレム・ピャニッチの動向による影響も、多少なりともあるかもしれない。
適切なオファーさえ届けば、本当にマッケニーを手放していいのか。確かにユヴェントスの中盤は、やや人員過多なところはあるかもしれない。しかし、現在はアドリアン・ラビオとアルトゥールが負傷離脱中。新アンカーとして期待されているアーロン・ラムジーも近年は怪我に苦しめられており、シーズンをフルでプレイできるかわからない。また、スター選手が多いユヴェントスにおいて、チームのためにボックス・トゥ・ボックスで走れるダイナモの存在は貴重だ。金銭面による事情もあるかもしれないが、こういった状況を踏まえると、献身性や将来性のあるマッケニーを手放すのは得策とは言えないのではないか。
ただ一方で、3rdユニフォームを発表する際、マッケニーはイメージビデオのメインキャラクターとして登場。さらに、毎年開幕前の恒例行事となっているU-23チームとの親善試合でも後半からピッチに立っていることもあり、今夏の退団はないという見方もある。移籍期間は残り1週間ちょっととなったが、はたして。