やはりスランプから抜け出せないスターリング その理由は不調ではなく……

スターリングがゲームメイクに加わるには役割が違いすぎるか photo/Getty Images

サイドアタッカーとしては苦しいか

21-22シーズンが開幕したプレミアリーグ。昨季王者のマンチェスター・シティはトッテナムと対戦した。マンCではフィル・フォーデン、スパーズではハリー・ケインと主力を欠く中で行われた一戦は0-1でトッテナムの勝利で幕を閉じた。点差は1点だが、プレミア王者はカウンターから何度もピンチを招いており、守備陣が良く凌いだといったほうが正しいか。

開幕戦から黒星となったマンCだが、各所でまだまだ噛み合っていない部分が見られた。その一つは左サイドだ。いつもの[4-3-3]の布陣で臨んだマンCは左サイドバックにバンジャマン・メンディ、左ウイングにラヒーム・スターリング、左インサイドハーフに新加入のジャック・グリーリッシュを配置した。グリーリッシュを起点とする攻撃は効果的で、いきなりボックス外でファウルを貰うなど、相手の脅威となっていた。

しかし、スターリングとメンディがグリーリッシュと噛み合わず、左サイドが停滞していた。スターリングに関してはスパーズのジェフェット・タンガンガに苦労しており、単騎での突破はほぼ見られなかった。また、動き出しも少ないため、中盤以降はリヤド・マフレズ、イルカイ・ギュンドアンの右サイドから攻撃が行われていた。

これに関してはスターリングが不調だという声もあるが、要因としては彼のプレイスタイルにある。スターリングはボールを持った際に足元に収め、周りをうかがうことが多い。スピードが持ち味の選手だが、一度止まってしまえば対応もしやすく、この試合でも何度もタンガンガやピエール・エミール・ホイビュルクに止められていた。

更に右サイドのマフレズのような高精度のクロスやスルーパスもないため、どうしても近い相手へのパスか単騎でのドリブルと選択肢が少なくなり、プレイが絞りやすくなるのだ。また、ボールを出した後の動き出しも特に工夫がなく、グリーリッシュが苦労している場面が何度か見られている。

ではなぜ、以前までは活躍できていたのか。それは絶妙なタイミングでパスをくれるダビド・シルバの存在が大きいだろう。彼はボックス内で深さを取り、その位置からパスをくれるため、スターリングのスピードが生きやすかったのだ。しかし、現在シルバは退団しており、スターリングが人を使うポジションに回っていることが結果を残せない理由だ。

昨季台頭してきたフォーデンが重宝されているのは、使う側にも使われる側の選手になれるからだ。単純な突破力や効果的なラストパスもそうだが、プレイの幅を広げなければスターリングが左サイドで不動の地位を築いていたころには戻れないだろう。

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