鳥栖の“最後の砦”パク・イルギュ 的確なポジショニングがもたらす堅守

鳥栖の守備を牽引するパク・イルギュ photo/Getty Images

J1歴代タイ記録となる開幕6連続完封

明治安田生命J1リーグ第6節終了時点で,4勝2分(勝点14)の3位。得点「10」に対して失点「0」と、サガン鳥栖はJ1へ昇格した2012年以降、最高のスタートを切った。ここまで無失点を貫いているのは鳥栖のみで、開幕6試合連続クリーンシートはJ1歴代タイ記録だ。好調な鳥栖の守備において、DFエドゥアルドやDFファン・ソッコを中心とした粘り強い守備陣の奮闘もあるが、最後の砦として立ちはだかっているGKパク・イルギュの存在が大きい。

朝鮮大学卒業後はJFLや社会人リーグを経験するなど、数年前まではJ1はおろかJ2のピッチにも立ったことがなかったパク・イルギュ。2018年にFC琉球のJ3優勝とJ2昇格に貢献すると、翌2019年には横浜F・マリノスに移籍し、入団初年度からリーグ戦25試合に出場して優勝に貢献して見せた。その後、登録メンバーの兼ね合いといったチーム事情により、昨年10月に鳥栖への移籍を決断。シーズン途中での加入という難しい状況ではあったが、新天地でもすぐさま正守護神の座を確保しており、今季もここまでリーグ戦全6試合に出場して無失点記録の立役者となっている。

パク・イルギュの凄さといえば、セービングなどのシュートストップはもちろんのこと、近代サッカーでGKに求められる守備範囲の広さやビルドアップ能力。その全ては、ポジショニングと判断能力の高さから生まれている。

開幕節の湘南ベルマーレ戦で39分に、ハンドによって相手のゴールが認められなかったシーンを振り返ってみる。そもそもパク・イルギュのセーブがなければ、湘南のゴールは決まっていたかもしれない。このシーンでは、湘南がアタッキングサードに入ってから前後左右に動かすボールに対して、パク・イルギュがとてもこまめにステップを刻み、細かくポジションを修正しているのが見て取れる。そして、しっかりとポジションを取ることで、トラップがやや大きくなたっところに素早く詰めることができた。相手選手もシュートをGKにぶつけるしかなかったように思う。

また、第3節ベガルタ仙台戦ではペナルティエリアを飛び出してビルドアップに参加し、サイドチェンジからMF小屋松知哉が決めた3点目のゴールの起点に。これも周囲の状況判断とDFをサポートする的確なポジショニングがあってこそだ。今季は他にも、パク・イルギュの素晴らしいポジショニングが失点を防いだり、効果的なビルドアップに繋がったりするシーンが多々ある。6試合連続クリーンシートはクロスバーに助けられたり、相手のミスに救われたり、運もあるだろうが、パク・イルギュがゴールマウスを守っていたからこそかもしれない。

ただ、パク自身はクリーンシート記録をあまり気にしていない模様。それよりも、欲しいのはチームの勝利だ。スコアレスドローで終えた第6節アビスパ福岡戦後、「6試合連続無失点記録に関しては正直なんとも思わないです」と述べつつ「試合前は記録を塗り替えたいという話をしましたが、あくまでもそれは試合に勝ち続けながらというところで、引き分けが続いて記録を更新しても嬉しくない。ホームで福岡相手にしっかり勝利を手にすることが第一でしたので、そこが達成できなかった時点でゼロにこだわる意味もなかったですし、今日は失点してでも勝ちにいかなければいけない試合と感じていたので、記録が伸びたというより勝ちきれなかったというところにベクトルを向けています(鳥栖公式サイトより)」と悔しさを滲ませていた。

しかし、無失点でいることは勝利への近道であるのも事実。今季は酸いも甘いも知る守護神パク・イルギュが鳥栖を躍進へ導くかもしれない。4月2日に行われるセレッソ大阪戦(第7節)でのリーグ記録(J1開幕7試合連続クリーンシート)更新にも注目だ。

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