マンUでのファン・デ・ベークの有効活用法 期待したい“0トップ”としての可能性

ファン・デ・ベークの有効活用法を見つけたい photo/Getty Images

今季期待されて加入もライバルの存在もあり苦戦中

今季マンチェスター・ユナイテッドに新たに加入したのがドニー・ファン・デ・ベーク。アヤックス時代はチャンピオンズリーグの舞台でも活躍し、その名前を轟かせイングランドの名門にステップアップをはたしたオランダ代表MFだが、これまではその実力を十分に発揮するには至っていない。

その原因の一つとされるのがレベルの高いライバルたちの存在。トップ下にはブルーノ・フェルナンデスという攻撃を司る絶対的な選手がおり、センターハーフタイプのポール・ポグバやスコット・マクトミネイといった選手たちもファン・デ・ベークの競争相手として存在している。

では、ファン・デ・ベークがマンUという名門で生き残っていくには何が必要なのか。それは自身の特長を周りに認識させた上でより活きるポジションで起用され、チームメイトたちと連携を深めながら活躍を見せ続けることではないだろうか。
ひとつ考えられるのがファン・デ・ベークの“0トップ”としての起用である。このオランダ代表MFはフェルナンデスやポグバといったボール扱いに長けた選手の代わりではなく、彼らのようなゲームメイカーに活かされて持ち味を発揮する。また、ライン間でボールを引き出しながら短いタッチで周りを使い、前に飛び出していくプレイや守備面でもハードワークができるなどプレイの幅も広い。

今季マンUでは主にアントニー・マルシャル、エディソン・カバーニがストライカーの位置で使われているが、フランス代表FWは好不調の波が大きく、ピッチに出れば貢献をはたすウルグアイ代表FWもベテランに差し掛かりコンディションの面で不安を抱えている。

リヴァプールではロベルト・フィルミーノが“0トップ”の選手として使われてきたが、今季プレミアリーグで独走するマンチェスター・シティでも、ケビン・デ・ブライネやベルナウド・シウバ、フィル・フォデンなど明確なストライカーをおかない戦術が機能した。また、トーマス・トゥヘル率いるチェルシーでも今季加入したカイ・ハフェルツが最近では似たような働きを見せている。

ファン・デ・ベークの“0トップ”が仮にハマれば、攻撃の依存度が高く疲労も垣間見えるフェルナンデスを休ませることにもつながる。また、オランダ代表MFの新たな役割がマーカス・ラッシュフォードやダニエル・ジェイムズ、メイソン・グリーンウッドなど、マンUのサイドアタッカーの推進力や攻撃性能を活かすことに一役買うことになるかもしれない。

今季期待を受けながら加入したプレミアリーグで適応に苦しむファン・デ・ベークだが、オーレ・グンナー・スールシャールが特長を見極め適正ポジションで使っていくことで、新たな一面が引き出され、マンUの攻撃の新たなオプションとしてチームの戦い方の幅を広げることにつながるだろう。

ここまでは期待に応えられているとはいえないが、オランダ時代に見せてきた才能に疑いはない。指揮官のスールシャールがこのオランダ代表MFのポテンシャルをどう引き出していくのかは期待したいところだ。

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