近年の欧州サッカー界は“FKの名手”が少なすぎる いったいなぜ?

クラブキャリアで49本のFKを沈めているメッシ photo/Getty Images

そもそも努力が足らない?

ジーコ、ミシェル・プラティニ、ディエゴ・マラドーナ、ロナルド・クーマン、ジャンフランコ・ゾラ、ロベルト・カルロス、デイビッド・ベッカム、ジュニーニョ・ペルカンブカーノ、アンドレア・ピルロなど……。形は十人十色だが、欧州のその時代時代には、華麗なプレイスキックからゴールネットを揺らすフリーキックの名手がいた。もちろん、名門マンチェスター・ユナイテッドを相手に衝撃的なFKを決め、多くのサッカーファンを沸かせた元日本代表MF中村俊輔もそのひとりだ。

しかし、近年の欧州サッカー界はそんなフリーキックの名手たちが減ってきているのではないか。今季で言えば、直接フリーキックからゴールを狙い、目立った結果を残しているのは、プレミアリーグで4ゴールを決めているジェイムズ・ウォード・プラウズ(サウサンプトン)ぐらい。また、近年を見ても、素晴らしいフリーキックを蹴る選手は様々なリーグにいることにいるが、歴代の名だたる名手たちに比べれば、かなり見劣りしてしまうことだろう。彼らと肩を並べられる選手といえば、クラブキャリアで49本ものFKを沈めているリオネル・メッシ、同じく47本のクリスティアーノ・ロナウドぐらいか。ただ、ロナウドに関していえば、ここ数シーズンは壁にぶつけたり、大きく枠を外したりと、精彩を欠くシーンが目立ち、42本連続で失敗という不名誉な記録も残している。そのため、FKの観点から見ればスペクタクルな選手とは少々言いづらいかもしれない。

実際、現役時代にセリエAでフリーキックを極めたアレッサンドロ・デル・ピエロ氏とシニシャ・ミハイロビッチ現ボローニャ監督も、近年のフリーキッカーたちに物足りなさを感じている模様。伊『sky sport』などによると、フリーキックからゴールを決めている数がセリエAで歴代3位(22本)となるデル・ピエロが、歴代1位タイ(28本)のミハイロビッチに「スプレーによって壁までの距離がきっちりしているという利点があるのに、なぜ最近はFKの得点が少ないんだと思う?」と投げかけると、次のように答えていた。

「ああそうだね。こんな壁なら、私たちなら目を閉じてでも得点を決めていただろう。引退してから15年も経つけど、私はトレーニングでうちのどんな選手よりもフリーキックを決められるよ。トレーニングが終わったあと、グラウンドに居残り、選手同士でフリーキックの勝負を行うには、情熱と時間が必要だ。ただ、私たちはやりたかったから残っていただけなんだけどね。私は15年間選手たちを指導してきたけど、最近の選手たちは自ら私のところへ来て、フリーキックの練習をするために残りたいと言ってきた選手は一度も見たことがない。だから、私は常に『やれ!』と言わなければならなかった」

1998年12月のサンプドリア戦で、フリーキックのみのゴールでハットトリックを達成したこともあるミハイロビッチから言わせれば、最近の選手たちはそもそも努力が足らないのかもしれない。フリーキックの際には一旦試合が止まり、試合を見ている全ての人々がフリーキッカーに注目するため、サッカーにおいて花形プレイといっていい。そんな花形の選手が少ないのは、物寂しい気もする。はたして、近い将来ミハイロビッチやデル・ピエロ氏たちと肩を並べるようなフリーキックの名手は現れるのか。

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