“ロベリ”の後継者に名乗り? アシストマシーンと化したFWがサネに挑戦状

バイエルンでアシストを量産するコマン photo/Getty Images

簡単にポジションは渡せない

昨季3冠を達成したバイエルンは、今夏にさらなる補強に打って出た。マンチェスター・シティからドイツ代表FWレロイ・サネを獲得したのだ。

これにより、右ウイングにセルジュ・ニャブリ、左ウイングにサネ、そしてセンターフォワードにロベルト・レヴァンドフスキの超強力トリオを完成させることが出来る。ニャブリとサネが揃ったことでアリエン・ロッベン&フランク・リベリからの世代交代は完了したと考えたサポーターも多いだろう。

しかし、サネが波に乗り切れない。19日のレヴァークーゼン戦では負傷したFWキングスレイ・コマンに代わって前半32分より出場したが、何と68分に交代を命じられてしまった。途中出場した選手が再びベンチへ下げられるケースはあまり多くない。サネの状態が上がっていないのは間違いないだろう。
そんな中、予想を裏切るインパクトを残しているのがコマンだ。レヴァークーゼン戦では負傷交代したが、クラブ公式の発表によれば軽い肉離れで済んだという。この発表に安堵したサポーターは多いはず。なぜなら今のバイエルンの攻撃にコマンは欠かせないからだ。

何かきっかけを掴んだのか、コマンは今季すでにリーグ戦で7アシストを記録している。これはアシストマシーンと化したFWトーマス・ミュラーと並んでチームトップだ。昨季3アシストしか決めていないことを考えると、今季のロケットスタートには驚かされる。

今夏バイエルンに加わったサネ photo/Getty Images

キャリア最高のシーズンへ

得点の方も2点奪っており、昨季の4得点を超えそうな気配がある。すでにリーグ戦のアシスト数はバイエルンでのキャリアハイを塗り替えているが、得点の方も2018-19シーズンに記録した6得点を超えられるはずだ。

24歳と中堅世代に入ったコマンが個人的に成長したことはもちろん、昨季途中より指揮を執るハンジ・フリックとの相性が良いのだろう。フリックはアタッカー陣の守備力も重視しており、バイエルンの前線はとにかく守備に走ってくれる。今季リーグ戦でのタックル成功数No.1は何とニャブリで23回、ミュラーも3番目に多い20回、それに比べると劣るが、コマンも8回を記録している。一方でサネは2回だ。

フリックより求められる守備をベースに、コマンはお得意のドリブルもチームトップとなる17回の成功を記録。さらにキーパス数(シュートに直結するパス)も38本のミュラーに次いで2番目となる18本を記録している。ミュラーとは倍以上の差がついているが、それでもコマンの数字は称賛されるべきだろう。

このまま大きな怪我さえなければ、コマンはサネとのポジション争いにも勝てるかもしれない。コマン自身も新参者のサネにあっさりとスタメンの座を渡すつもりはなかったはず。ロッベン&リベリの穴を埋めるのは自分だとの意識もあるのだろう。

ニャブリ、サネ、コマンらが切磋琢磨する環境となればバイエルンにとっても悪い話ではない。開幕当初はサネとニャブリのドイツ代表コンビばかりに注目が集まったが、着実に力を伸ばしてきたコマンのことも忘れてはならない。(数字は『WhoScored.com』より)

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