得点力だけではないイブラの凄み ナポリ戦で見せた“献身的な守備”

2得点を挙げたナポリ戦で、守備も精力的にこなしたイブラヒモビッチ(左)  photo/Getty Images 

ナポリのビルドアップを妨害

2020-21シーズンのセリエA第8節が現地時間22日に行われ、ミランがナポリに3-1で勝利した。第7節消化時点で8ゴールと好調なミランのFWズラタン・イブラヒモビッチが、この試合でも2得点をマーク。20分にDFテオ・エルナンデスの左サイドからのクロスにヘディングで反応して先制ゴールを挙げると、54分にも左サイドを駆け上がったFWアンテ・レビッチのクロスに右足で合わせ、追加点を奪取。ミランは63分にFWドリース・メルテンスのシュートを浴びて1点差に詰め寄られたものの、途中出場のFWイェンス・ペッター・ハウゲによる後半アディショナルタイムの追加点でナポリを退け、同リーグ首位の座を守っている。

GKのアレックス・メレト、右からジョバンニ・ディ・ロレンツォ、コスタス・マノラス、カリドゥ・クリバリ、マリオ・ルイの4バックを起点にビルドアップを試みたナポリに対し、試合序盤からハイプレスを仕掛けたミラン。[4-2-3-1]という布陣のトップ下で起用されたハカン・チャルハノールと、アレクシス・サレマーカーズとレビッチの両サイドハーフ、そしてイスマエル・べナセルとフランク・ケシエの2ボランチが鋭い出足を見せていたが、この獰猛なプレッシングを陰で支えていたのは最前線のイブラヒモビッチだ。

この試合でイブラヒモビッチがまめに行っていたのは、相手のパスコースを消す守備。ナポリのDFマノラスが自陣ペナルティエリア内でボールをキープした8分すぎの場面では、イブラヒモビッチがクリバリ(左センターバック)の近くに立ってパスコースを限定。ナポリの2ボランチの一角であるティエムエ・バカヨコも最終ラインの近くに立っていたが、イブラヒモビッチがバカヨコとクリバリのどちらにもチェイシングに行ける位置に立ったことで、マノラスは両選手に向けてパスを出せず。もう一人のボランチであるファビアン・ルイスへの縦パスを選択したものの、このパスを読んでいたチャルハノールとケシエがルイスやマノラスにプレスをかけ、ルイスからのバックパスを受けたマノラスのキックミスを誘った。
一連のハイプレスでナポリのビルドアップを寸断したミランは、この直後に自陣後方からのパスワークで敵陣左サイドを突破。9分すぎにチャルハノールがGK強襲のミドルシュートを放ったことで勢いづき、試合の主導権を握った。

また、32分40秒すぎにはナポリのFWロレンツォ・インシーニェがバカヨコからの縦パスをセンターサークル付近で受けたものの、自陣左サイドからオーバーラップを試みたクリバリにイブラヒモビッチがマークに付いたため、そこへパスを出せず。インシーニェが苦し紛れに放ったロングパスをレビッチがカットし、これがミランの速攻に繋がるという場面もあった。

この試合におけるイブラヒモビッチのインターセプト数は“0”(データサイト『Sofa Score』より)。スタッツだけを見ると守備面でチームに貢献できていないように感じられるかもしれないが、同選手が相手のパスコースを消すことで、他の選手がボールの奪いどころを定めやすくなっている様子がナポリ戦で窺えた。訪れた決定機を物にしたことも然ることながら、献身的な守備でチームメイトを助けたことも特筆すべき点であろう。

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