ザッケローニの心に残る唯一の後悔 名将が望んだ“王様”イブラとの共闘

今季もミランで出色のパフォーマンスを披露するイブラヒモビッチ photo/Getty Images

「イタリアではC・ロナウドよりも……」

正直なところ、このストライカーをACミランが昨季冬の移籍市場で獲得した際、多くの人がピッチ上でここまでの活躍を披露するとは思っていなかったかもしれない。低迷するチームにピッチ外で与える影響力を考慮しての獲得。クラブとしても、そんな思惑が大きかったはずだ。しかし、ズラタン・イブラヒモビッチはそんな周囲の予想に反してピッチ上で素晴らしいパフォーマンスを披露している。

10月で39歳を迎えたベテランとは思えぬ働きぶりだ。昨季はわずか半年間の稼働にもかかわらずセリエAで10得点5アシストの大活躍。今季もここまで公式戦の出場3試合で5得点を挙げる大活躍を披露し、快進撃を続けるミランで主役となっている。

いくつになってもイブラはイブラ。それどころか、年齢を重ねるごとに身体のキレが増しているのではないかとも思わせる躍動ぶりだ。本人もしばしば自分のことを「オレはベンジャミン・バトン(年齢を重ねるごとに若返る男の一生を描いた映画の主人公)」と表現しており、このベテランFWは年齢が単なる数字に過ぎないということを実際に証明してみせている。

かつては日本代表監督も務めたザッケローニ氏 photo/Getty Images

そんなイブラヒモビッチに魅せられているサッカーファンは多いだろうが、かつて日本代表でも監督を務めたアルベルト・ザッケローニ氏もその一人だったようだ。ミランに帰還してから周囲を巻き込んで大暴れするベテランFWについて、同氏は伊『Il Giornale』へ次のように語っている。

「私は自身の監督キャリアで(オリバー・)ビアホフや(ジョージ・)ウェア、アドリアーノといった偉大なチャンピオンを指導してきた。だが、その中で唯一の後悔となっているのはイブラヒモビッチをトレーニングできなかったことだ。彼は永遠の存在であり、なぜこれまでバロンドールを獲得できなかったのかわからないよ」

「イタリアでは(クリスティアーノ・)ロナウドよりも状況に変化を与えていると言える。彼が加入してから、ミランの若い選手たちが急速に成長したことは決して偶然ではないと思う。得点を挙げるだけでなく、彼はチームメイト全員に自信を与える。イブラはたった一人で困難な状況を背負い込んでも、それを解決してしまうんだ」

今年7月に監督業からの引退を宣言したザッケローニ氏だが、そのキャリアでイブラヒモビッチを指導できなかったことは最大の心残りとなっているようだ。イタリアの名将にそんな思いを抱かせるほどの存在である“ミランの王様”。はたして、彼は一体いつまでサッカー界のトップレベルで活躍し続けることとなるのだろうか。39歳の旅はまだまだ終わりそうにない。

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