[粕谷秀樹]堅守を誇ったリヴァプールが4試合で11失点!! 相次ぐ主力のアクシデントで不安に苛まれる
粕谷秀樹のメッタ斬り 045
アストン・ヴィラにまさかの大敗を喫したリヴァプール photo/Getty Images
ファビーニョやフィルミーノまでも
7失点だよ、7失点。だれが予想できたっていうんだい?
直近2シーズンでわずか55失点。1試合平均は0・72。7点も取られるには10試合近くかかる計算でしょ。ところがたった90分で、リヴァプールはアストン・ヴィラに7回もゴールを奪われた。
ディフレクションが3回もあったとはいえ、2-7というスコアは惨敗と表現するしかないね。ちなみに7失点は、1962-63シーズンのトッテナム戦以来、40年ぶりだそうだ。
「敗因はすべて私たちにある」
ユルゲン・クロップ監督も非を認めたように、ヴィラ戦ではミス連発。GKアドリアンはビルドアップの初期段階で相手にボールを渡した。DFジョー・ゴメスは自陣で何度もボールロストし、ラインも上げきれなかった。
また、ファビーニョやロベルト・フィルミーノが緩慢なプレイで足を引っ張れば、トレント・アレクサンダー・アーノルドの一対一は軽かった。これじゃあ勝てっこない。
正GKアリソンが試合前の練習で肩を負傷するハプニングも影響したのかなぁ。それにしても、クロップ体制下では初といって差し支えない無様な試合だった。情熱とか反発力とか、どこに置いてきちゃったのってね。
ひょっとすると、新型コロナウイルスのダメージかもしれない。
チアゴ・アルカンタラとサディオ・マネは陽性だった。ヴィラ戦後に陽性との診断がくだったシェルダン・シャキリは、その後の検査で陰性が確認されたものの、十分に注意していても感染する恐れのある厄介な病が、選手たちの心を蝕んでいたとしても不思議じゃないよね。
「次は俺か!?」っていう不安に苛まれる。試合には集中できないし、トレーニングでも気はそぞろ。リヴァプールの大量失点は、精神面に原因アリとも考えられるな。
リヴァプールで最も代えのきかない選手と言っても過言ではない主将のヘンダーソン photo/Getty Images
モチベーションの維持も難しい
最終ラインが高すぎる。ヴィラ戦でも徹底的に裏を狙われた。とくに右サイドはA・アーノルドのポジショニングが曖昧で、ゴメスのカバーも遅れがちでしょ。しかもGKはしばらくの間アドリアンだ。アリソンほどには広いエリアをカバーできない。もう5メートルほどラインを下げるべきじゃないかな。
もちろん、ジョーダン・ヘンダーソンがフル稼働できるようになれば、このあたりの問題はクリアできると思うけれど、キャプテンは満身創痍。彼の代役は世界中を探しまわっても見つからないよ。
シーズンは始まったばかりだ。でも、堅守を誇ったリヴァプールが4試合で11失点。13失点のウェストブロムに次ぐワースト2位タイは、やっぱり気になる。一昨シーズンはチャンピオンズリーグを、昨シーズンはプレミアリーグを制しているため、モチベーションの維持も簡単じゃないよね。
次節は好調エヴァートンとのマージーサイド・ダービーだ。DFラインを高く設定すると、ドミニク・カルバート・ルーウィンのスピードにしてやられる。ハメス・ロドリゲスの左足からピンポイントパスが配される。
2試合連続で大量失点? まさか……ねぇ。
文/粕谷秀樹
スポーツジャーナリスト。特にプレミアリーグ関連情報には精通している。試合中継やテレビ番組での解説者としてもお馴染みで、独特の視点で繰り出される選手、チームへの評価と切れ味鋭い意見は特筆ものである。