「リンゴと梨を比較するようなものだ」
今夏移籍市場にて、ドルトムントは昨季まで右ウイングバックとして絶対的な存在感を放っていたモロッコ代表DFアクラフ・ハキミを失った。圧倒的なスピードと攻撃力を備える彼は、これまでの同クラブにおいて欠かせない選手だったと言っていい。レアル・マドリードからレンタルしていた選手だったとはいえ、完全移籍に移行できなかったのは大きな痛手といえるだろう。
あまりにも大きなハキミ不在の穴。とはいえ、その穴埋め役としてドルトムントはパリ・サンジェルマンから29歳のベルギー代表DFトマ・ムニエを補強している。ハキミほどとまではいかないかもしれないが、彼もまた優秀なサイドプレイヤーであることは間違いない。うまくハマれば、ハキミの不在を感じさせない活躍を披露してくれることだろう。
しかし、ドルトムントでスポーツディレクターを務めるミヒャエル・ツォルク氏はムニエとハキミを比較することはできないと主張している。それぞれ特長が異なる選手だけに、新加入DFと前任者でどちらが優秀かを議論することはナンセンスと同氏は次のように語る。独『SPORTBUZZER』が伝えた。
「ムニエとハキミを比較するのは、リンゴと梨を比べるようなものだよ。ムニエが我々のスタイルに適していることは明らかだ。彼は堅実で安定したスタイルで我々を助けてくるスタイルの選手。全く問題はないよ。時速35kmでスプリントを仕掛ける必要など、全くないんだ。それは我々が彼に求めているものではない」
入れ替わりで加入したとあって、どうしてもハキミとは比較されてしまうムニエ。しかし、前任者の役割をそのまま任せるつもりで彼を連れてきたのではないとツォルク氏は主張している。
爆発的なスピードを武器にド派手な攻撃参加を連発していたハキミと比べれば、どうしても大人しい印象が残るムニエ。しかし、だからといって無理に自分のスタイルを変える必要はない。地に足をつけて、ベルギー代表DFは自分らしさを最大限に活かしたプレイを心掛けてほしいところ。そうすれば、自然と“ハキミの後釜”としての認識は周囲から消えていくことになるだろう。