[MIXゾーン]戦いの幅が広がった したたかさを身につけたC大阪

したたかな戦い方をチームに植え付けるロティーナ監督 photo/Getty Images

苦しい入り方ながらも浦和を完封

 したたかさ。今のC大阪を見ていて一番感じることだ。かつてアカデミーから出てくる若い選手たちの活躍で、勢いが売り物だったチームが、徐々に大人のチームへと生まれ変わろうとしている。

 試合の入り自体は決して褒められたものではなかった。ロティーナ監督も
「前半はどの時間帯も、我々が思っていたようなプレイをすることができなくて、浦和が上回っていたと思う」と話したように、思い通りの攻撃ができず、守りに追われる時間帯が長かった。

 ただそこでモノをいうのはその守備力である。13失点はリーグ2位の少なさ(失点10だが未消化試合の多い鳥栖は除外)。苦しい時にものをいうのがこの守備力である。元々ロティーナ監督はスペインで守備的サッカーをする指揮官として知られている。スペインというと判で押したように、攻撃的なサッカーをイメージする人が多いだろが、実際はリーグ中位から下位のチームだと徹底的に守るケースも少なくない。

 ロティーナ監督の場合は、ボールを奪われた時には早目に帰陣して守備のブロックを作らせる。奪われた瞬間に、そこでボールにプレスにいくというやり方もあるが、C大阪の守備のベースは自陣内を固めるというやり方だ。4-4-2の3ラインはコンパクトにまとめられ、これをこじ開けることは容易ではない。

 前半の浦和は押してはいるものの、このC大阪のコンパクトな守備に手こずった。

「したたかさを見せたセレッソにうまくやられてしまったかなと思う」(DF槇野)

「Jリーグの中でもC大阪は守備が堅く、しっかりと守れる代表的なチームだと思う」(MF長澤)

 浦和からすればボールを保持しているというより、保持させられているという感じが強かったのかもしれない。同時に反省点としては攻撃に出た時に
「こちら側のボールを届ける質だったりのシンプルなミスからの失点だったので、非常にもったいなかった」(大槻監督)。

 C大阪がしたたかさを身につけたと感じたのは、2点をリードした後半の後半である。どうやって時間を使いながら、相手を苛立たせながらサッカーをするかということを熟知している。これが守備一辺倒のチームとの大きな違いでもある。C大阪は攻撃面の指導はイバン・パランコヘッドコーチが担当している。元々バルサの育成アカデミーで指導をしていた経験から、システマティックな攻撃を彼は得意としている。そういう意味ではロティーナ監督にない部分を彼は持っているということもできる。C大阪の試合が決して退屈なものではないのは、攻めるべきは攻め、守るべきは守るのメリハリがきいているからに他ならない。

 後半に浦和のミスも利用して3点を叩き込んだC大阪。しっかり2位をキープ。決して今の順位はフロックではなく、明らかに実力に裏付けられたものである。苦しい試合を、スコア上は快勝にまでもっていけるしたたかさ。これは本物だ。

「後半はより賢くプレイすることができた。前半と後半でアイデアが変わったわけではないが、前半のミスから学び、より賢くプレイできた」(ロティーナ監督)

 戦いの幅が広がったようだ。ますます今後の戦いが楽しみになってきた。

文/吉村 憲文

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