周囲を唸らせるほどのフィードではなかったが、最後尾から丁寧につないでいた。所属クラブが守備的なアプローチだったとはいえ、04-05シーズンに記録した1025分連続無失点は特筆ものだ。チェルシーに多くのタイトルをもたらしたペトル・チェフが第2位だね。
「とにかく信頼できる男だった」(ジョン・テリー)
「彼の指示どおり動きさえすれば相手を封じられた」(アシュリー・コール)
「チェフがいるだけでリラックスできた」(リカルド・カルヴァーリョ)
チェルシーで寝食をともにしたクセが凄い連中が全幅の信頼を寄せていたのだから、チェフのレベルがうかがい知れる。アーセナル所属時も含め、クリーンシートは歴代最多の202。安心感抜群のデータだな。
さて、第1位はユナイテッドの3連覇(06-07シーズンから)に尽力し、近代GKのプロトタイプでもあるエトヴィン・ファン・デル・サールだ。相手FWがプレスをかけても慌てずかわし、正確なフィードで攻撃の基点になる。197センチの長身を利して空中戦に強く、的確なコーチングでDFラインを自在に動かしていた。
フラムからユナイテッドに移籍してきた05-06シーズンはすでに34歳。「終わっている」とかいわれていたけど、そんな悪評をエネルギーに代えて完全復活。08-09シーズンには前述したチェフの記録を破り、1311分連続無失点という驚異的なレコードも樹立したね。ファン・デル・サールはユナイテッドの、いやいや、フットボール全体の歴史に名を残すGKのひとりだよ。
文/粕谷秀樹
スポーツジャーナリスト。特にプレミアリーグ関連情報には精通している。試合中継やテレビ番組での解説者としてもお馴染みで、独特の視点で繰り出される選手、チームへの評価と切れ味鋭い意見は特筆ものである。
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