[粕谷秀樹/プレミア・ポジション別BEST5]ファン・デル・サールは近代GKのプロトタイプだ

粕谷秀樹のメッタ斬り 037

粕谷秀樹のメッタ斬り 037

現在、プレミアリーグを代表するGKのデ・ヘア(左)、アリソン(右)、エデルソン(右)photo/Getty Images

アメフトのクォーターバック?

【プレミア・ポジション別BEST5】の最終回はGK編。単にシュートストップがうまいだけじゃなく、攻撃の基点になれるとか、安心感があるとか、総合的な判断に基づくランキングだ。

1998-99シーズン、マンチェスター・ユナイテッドのトレブルに貢献したピーター・シュマイケルはキックが雑だったし、現役イングランド代表のジョーダン・ピックフォード(エヴァートン)は、安心感が微塵の欠片もない。ちなみにすべてのGKを〈守護神〉と表現する媒体もあるけれど、後逸したりクロスにかぶったりしていたら、崇め奉れないじゃん。

第5位はユナイテッドのダビド・デ・ヘアだ。入団1シーズン目と昨シーズンを除く7年間は、〈神に近い存在〉だったでしょ。奇跡的なセーブの連続。やられたと思っても、信じられないような反応で防いでいた。近ごろの不振はどこかにケガを隠しているのか、陣容が整わないクラブにモチベーションが低下しているのか。一刻も早く以前のデ・ヘアに戻ってほしいな。

続く第4位はリヴァプールのアリソンだ。イージーミスが少なく、ボールをキャッチした後の判断が迅速、かつ正確。今シーズンもクリーンシートは2位タイの10。昨シーズンは最多の21。このデータもポイント高いよ。

ただ、シティのエデルソンに比べるとキックのバリエーションが……。この人、まるでアメリカン・フットボールのクォーターバックじゃん。超ロングフィードで一気に陣地回復。しかもフリーになっていた自軍FWの足もとにピタッ! ひと昔前のコミックに出てきたようなエデルソンを第3位にしよう。

プレミアリーグ史に残るGKのチェフ(左)とファン・デル・サール(右)photo/Getty Images

クセが凄い連中が全幅の信頼を

周囲を唸らせるほどのフィードではなかったが、最後尾から丁寧につないでいた。所属クラブが守備的なアプローチだったとはいえ、04-05シーズンに記録した1025分連続無失点は特筆ものだ。チェルシーに多くのタイトルをもたらしたペトル・チェフが第2位だね。

「とにかく信頼できる男だった」(ジョン・テリー)
「彼の指示どおり動きさえすれば相手を封じられた」(アシュリー・コール)
「チェフがいるだけでリラックスできた」(リカルド・カルヴァーリョ)

チェルシーで寝食をともにしたクセが凄い連中が全幅の信頼を寄せていたのだから、チェフのレベルがうかがい知れる。アーセナル所属時も含め、クリーンシートは歴代最多の202。安心感抜群のデータだな。

さて、第1位はユナイテッドの3連覇(06-07シーズンから)に尽力し、近代GKのプロトタイプでもあるエトヴィン・ファン・デル・サールだ。相手FWがプレスをかけても慌てずかわし、正確なフィードで攻撃の基点になる。197センチの長身を利して空中戦に強く、的確なコーチングでDFラインを自在に動かしていた。

フラムからユナイテッドに移籍してきた05-06シーズンはすでに34歳。「終わっている」とかいわれていたけど、そんな悪評をエネルギーに代えて完全復活。08-09シーズンには前述したチェフの記録を破り、1311分連続無失点という驚異的なレコードも樹立したね。ファン・デル・サールはユナイテッドの、いやいや、フットボール全体の歴史に名を残すGKのひとりだよ。

文/粕谷秀樹

スポーツジャーナリスト。特にプレミアリーグ関連情報には精通している。試合中継やテレビ番組での解説者としてもお馴染みで、独特の視点で繰り出される選手、チームへの評価と切れ味鋭い意見は特筆ものである。

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