最近の若者は“普通じゃない” 久保、サンチョらとんでもない10代プレイヤー

マジョルカの久保 photo/Getty Images

次世代の主役候補たち

リオネル・メッシ、クリスティアーノ・ロナウドに代わって新時代を作るのは俺たちだ。今季の欧州サッカー界では、そう主張するかのような野心溢れる10代プレイヤーが続々と出てきている。

数年前まで10代の選手は将来性に期待といった立ち位置だったが、最近は状況が違う。10代でも当たり前のようにビッグクラブでポジションを確保する若者が出てきており、欧州サッカー界をかき回しているのだ。

例えば2月17日よりスタートしたチャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦では、ドルトムントの19歳FWアーリング・ハーランドがパリ・サンジェルマン戦で2得点と大暴れ。19歳MFジェイドン・サンチョ、さらには元アメリカ代表MFクラウディオ・レイナを父に持つ17歳MFジョバンニ・レイナもアシストを記録するなど、ドルトムントを引っ張ったのは10代トリオだ。
ハーランドは194cmのサイズを誇りながらスピードがあり、足下の技術も正確だ。19歳のプレイヤーとは思えぬほどゴール前でも落ち着いており、チャンピオンズリーグの舞台でも恐怖心は全くないように見える。チームメイトのサンチョも今季は16得点15アシストを記録するなど、すっかりワールドクラスアタッカーと評価されている。この2人は間違いなく今後のサッカー界を引っ張っていくことになるだろう。

同じくチャンピオンズリーグの舞台ではバレンシアに所属する19歳FWフェラン・トーレスが決勝トーナメント1回戦1stレグのアタランタ戦にフル出場しており、今やバレンシアでもキーマンとなりつつある。リーグ戦の方でも4得点4アシストを記録するなど、近いうちにスペインA代表の方でも主力となっていくことだろう。2022カタールワールドカップの頃にはトーレスが主役となっていても不思議はない。

ドルトムントのサンチョ photo/Getty Images

グループステージではレアル・マドリードFWロドリゴ・ゴエス(19)もガラタサライ戦でハットトリックを記録しており、欧州最高峰の舞台で存分に能力を発揮。レアルには同じ19歳のブラジル人FWヴィニシウス・ジュニオールも所属しているが、2人とも欧州1年目からきっちりと結果を出してきている。南米からやってきた選手の中には欧州のスタイルに適応するまで時間がかかる者も多いのだが、彼らにそうした戸惑いはない。10代でここまでプレイできれば文句なしだろう。

その他のチームに目を向けると、アーセナルではFWガブリエウ・マルティネッリ、FWブカヨ・サカの18歳コンビが躍動。マルティネッリもレアルのロドリゴと同じく欧州初挑戦のブラジル人アタッカーだが、ここまで信じられないペースでゴールを量産。全てのコンペティションを合わせて10得点4アシストと驚異の成績を残しており、すでにアーセナルサポーターは未来のスターと確信している。

サカの方はチャンスメイクでチームに貢献しており、今季は左サイドバックも担当。サイドで見せる1対1の強さは見事で、ここまでチームトップの9アシストを記録している。マルティネッリとサカの2人がここまでブレイクするとは、サポーターも予想していなかったはずだ。

得点数で見るとマンチェスター・ユナイテッドFWメイソン・グリーンウッド(18)も負けていない。マルティネッリを上回る11得点を挙げるなど、サポーターは早くもNEXTロビン・ファン・ペルシーと期待をかけている。才能では先輩のマーカス・ラッシュフォード以上との声もあるほどで、ドリブルからシュートまで全てのクオリティが高い。1、2年もすればマンUで主役となれるはずだ。

さらに若い選手ではフランスのレンヌでプレイする17歳MFエドゥアルド・カマビンガも世界の注目を集めている。レアル・マドリードもカゼミロの後継者候補にリストアップしていると言われており、フランスが誇る次世代のスター候補だ。

「彼はインクレディブルだよ。テクニック、フィジカル、彼はモンスターだ。彼のやること全てがパーフェクトなのさ。僕にとって彼こそ現代的なMFだ。出来ないことは何もない。守れるし、タックルもできてヘディングも強い。チャンスメイク、得点、アシストもできる。パワフルだが、左足のテクニックもある。知的で、エレガントな選手だ。あの年齢で彼のような選手を見ることは滅多にない。16歳ということを忘れてはいけないよ」

これは昨年フランスの天才ファンタジスタであるベン・アルファがカマビンガを絶賛した際のコメントだ。17歳ながらカマビンガは完成されたMFと評価されており、数年後には恐ろしい選手へ成長しているかもしれない。カマビンガだけに限らず、最近の若手は10代プレイヤーとは思えぬほど冷静に自身の能力を発揮してくる。「10代とは思えぬ落ち着き」といったワードは、もはや現代では不適切なものとなってきている。10代でも物怖じしない冷静な選手たちが当たり前のように存在するのだ。

もちろんレアル・マドリードからマジョルカにレンタル移籍している日本代表MF久保建英も忘れてはならない。サンチョやハーランド、マルティネッリらと比べると成績は物足りないが、10代のアジア人選手がレアルと契約するなど普通のことではない。数年前には考えられなかった事態であり、実力もすでにリーガ・エスパニョーラで十分に通用している。インタビューの受け答えも落ち着いており、久保もどこか18歳らしくない冷静さを持ち合わせている。これも新時代のスーパータレントの証なのかもしれない。

バレンシアでは19歳の韓国代表MFイ・ガンインも奮闘しているが、久保とイ・ガンインの2人はアジアサッカー界の可能性を大きく広げるプレイヤーへと成長していくだろう。世界のアジア人選手を見る目も変わってくるはずで、アジアサッカー界も新時代に入ったと言っていい。

まだ彼らが真のスーパースターになると決まったわけではないが、今季は10代プレイヤーが驚くほどに目立っている。サッカー界全体で徐々に世代交代の時がきているのは間違いなく、彼らがいる限りサッカー界の未来は明るい。

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