最後に私が紹介したいのは、パラグアイ代表のボランチで、自国のオリンピア・アスンシオンというクラブに在籍しているリカルド・サンチェス(23歳)です。彼は準々決勝のブラジル代表戦で[4-4-1-1]の布陣のボランチに入り、バイタルエリアへの侵入を試みる相手MFフィリペ・コウチーニョをマンマーク気味に監視していました。後半の立ち上がりに退場者を出しながらブラジル代表相手にPK戦まで持ち込めたのは、彼の守備力のおかげであると私は思います。ゴールやアシストなどの派手なプレイは少ないのですが、この若さで常に首を振って周囲の状況を確認し、自陣の危険なスペースをいち早く埋めることができる選手は決して多くありません。本来は見づらい自分の背後のスペースもきちんと見れていたことにも驚かされましたし、ブラジル戦では基本的にコウチーニョのマンマークを担いながらも、必要に応じて彼を離してでも自陣の危険なエリアをケアしに行くという臨機応変さも光っていました。追加招集という形でコパ・アメリカに参戦したサンチェスですが、今大会での活躍は欧州クラブのスカウトマンの目にとまっていることでしょう。
どの選手がどの欧州クラブでプレイすると面白いかを私なりに考えたのですが、今はコパ・アメリカで輝いたこの4人を「どのリーグでもいいから早く欧州で見たい」という気持ちでいっぱいです(笑)。今回紹介させて頂いた選手たちが今後どのような成長を遂げるのか。私自身も楽しみにしながらこれからも世界のサッカーの動向を追い続けたいと思います。
ではでは、また次回お会いしましょう!
水沼貴史(みずぬまたかし):サッカー解説者/元日本代表。Jリーグ開幕(1993年)以降、横浜マリノスのベテランとしてチームを牽引し、1995年に現役引退。引退後は解説者やコメンテーターとして活躍する一方、青少年へのサッカーの普及にも携わる。近年はサッカーやスポーツを通じてのコミュニケーションや、親子や家族の絆をテーマにしたイベントや教室に積極的に参加。幅広い年代層の人々にサッカーの魅力を伝えている。
●電子マガジンtheWORLD(ザ・ワールド)
最新号は、現在熱い戦いが繰り広げられているコパ・アメリカ完全ガイド!
以下のリンクから無料配信中です
http://www.magazinegate.com/maga_info.php?seq=356/