[ロシアW杯#06]初出場アイスランドが“メッシ封殺”! 緻密な守備で大会を席巻か

アグエロの左足シュートが炸裂も...... アイスランドがすぐさま反撃

アグエロの左足シュートが炸裂も...... アイスランドがすぐさま反撃

最後まで集中を切らさなかったアイスランドの面々 photo/Getty Images

アルゼンチンがボールを支配し、アイスランドが受け身にまわる。戦前からこの展開は予想されていた。というより、両者の特長を考えればそうならないはずはなく、実際に試合がキックオフされると、アルゼンチンがゆっくりとパスをつなぐ時間が続いた。
 
しかし、堅守速攻のサッカーがハイレベルで確立されているアイスランドに対して、油断が禁物なこともすぐに示された。9分にフィンボガソン、10分にはG・シグルズソンがあと一歩という惜しいシュートを放ち、アルゼンチンのゴールを脅かした。

そうしたなか、先制点は唐突に生まれた。19分、CBのロホが高い位置でボールを持ち、左足で強烈なロングシュートを放つ。このボールを懐に収めたアグエロが振り向きざまに左足シュートを決め、アルゼンチンは早い時間帯にアイスランドの鉄壁の守備を破ることに成功した。「(われわれが)強国であることをみせられると確信している」と試合前日に語っていたのはサンパオリ監督であり、幸先の良い先制点となった。

ところが、23分に試合は振り出しに戻される。アイスランドの素早い攻撃で左右に揺さぶられ、最後はGKカバジェロが弾いたボールをフィンボガソンに押し込まれた。このゴールが生まれたサイドには多くのアルゼンチン・サポーターが陣取っており、少し前の先制点の余韻に浸っていた人々は一瞬にして声を失い、目の前で喜ぶアイスランドの選手たちを呆然と見つめるしかなかった。

人海戦術に出たアイスランド メッシは英雄になり損ねる

人海戦術に出たアイスランド メッシは英雄になり損ねる

PKを失敗したメッシ photo/Getty Images

その後は戦前に予想されていた通りの展開となった。ただ、ボールをキープするもののアルゼンチンは効果的なパスを前線に入れることができず、なかなかチャンスを作れなかった。状況が変わったのは54分にサンパオリ監督がバネガを投入してからで、プレスが緩い中盤後方から精度の高いパスが前線に送られるようになった。
 
63分には厳しいマークを逃れて中盤に下がってきたメッシがゴール前にクロスを入れ、走り込んだメサが倒されてPKを得た。勝ち越す最大のチャンスを迎えて、キッカーはもちろんメッシ。前半に同点ゴールを決められたサイドであり、アルゼンチン・サポーターが期待しているのはひとつのことだけだったが、アイスランドの熟練GKであるハルドールソン(34歳)がここに立ちはだかり、決勝点とはならなかった。

サンパオリ監督はその後にパボン、イグアインを投入して“1点”を目指したが、ときに10人が自陣の3分2のスペースのなかに入って守備を固めるアイスランドの堅守を崩すことができず。こういった試合でいつもなら個人技で均衡を破ってみせるメッシもPKを筆頭に、直接FK、ミドルシュートも決まらず、この日は“違い”をみせることができなかった。
 
アイスランドは本当に守備が固く、「良い状態で、良い準備ができている」(サンパオリ監督)とされていたメッシを封じ込めた。グループDの残り2チームはクロアチア、ナイジェリアだ。もともと死のグループとされていたが、まさにその通り。改めて、勝ち上がるのが難しいグループだという認識が得られた。

[スコア]
アルゼンチン代表 1-1 アイスランド代表


[得点者]
アルゼンチン代表:アグエロ(19)

アイスランド代表:フィンボガソン(23)

文/飯塚 健司
サッカー専門誌記者を経て、2000年に独立。日本代表を追い続け、W杯は98年より5大会連続取材中。日本スポーツプレス協会、国際スポーツプレス協会会員。サンケイスポーツで「飯塚健司の儲カルチョ」を連載中。美術検定3級。Twitterアカウント : scifo10

theWORLD201号 2018年6月17日配信の記事より転載





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