[水沼貴史の欧蹴爛漫011]崖っぷちチェルシー、リヴァプールの“最恐3トップ”をどう止める?

“3セントラルMF”の採用がベターです

“3セントラルMF”の採用がベターです

徐々に出場機会を増やしているバカヨコ(写真中央) photo/Getty Images

水沼貴史です。欧州5大リーグのうち、セリエAを除く4リーグで優勝チームが決まりました。今後は来シーズンのチャンピオンズリーグやヨーロッパリーグへの出場権を賭けた戦いに、興味が湧く方も多いのではないでしょうか。今回は6日(現地時間)に行われるプレミアリーグ第37節、チェルシー対リヴァプールの展望についてお話ししたいと思います。チェルシー(同リーグ5位)は、今節で負ければ来季のチャンピオンズリーグ出場権確保が絶望的になります。こんな状況で、リヴァプールの強力な攻撃陣を相手に、チェルシーの面々はどのような守備を構築すれば良いでしょうか。

まずチェルシーが考えなければならないのは、リヴァプールの3トップ(モハメド・サラー、ロベルト・フィルミーノ、サディオ・マネ)の武器である快足を封じることです。最終ラインの背後にスペースがあると彼らに快足を飛ばされてしまうので、チェルシーとしては低めのライン設定が求められます。

次に中盤の構成ですが、アントニオ・コンテ監督(チェルシー)は今シーズン、[3-4-2-1]と[3-5-1-1]の2つの布陣を使い分けています。どちらの布陣で臨むのかがこの試合の見所ですが、私はティムエ・バカヨコ、エンゴロ・カンテ、セスク・ファブレガスによる3セントラルMF([3-5-1-1]の布陣)を採用するのがベターだと思います。リヴァプールの3トップにスピードに乗ったドリブルをさせないためにも、自陣バイタルエリアのスペースを徹底的に消す必要があります。自陣ゴール前により多くの人を配置することでスペースを消しやすくなりますし、リヴァプールの3トップとしては、縦方向へのドリブルを選択しづらくなるでしょう。チェルシーとしては3セントラルMFと3バックで中央を締め、相手の3トップにゴールから遠ざかるドリブル(横や後方へのドリブル)を選択させたいところです。
この試合ではバカヨコの出来が鍵を握るでしょう。今シーズンはチーム戦術への適応に時間がかかりましたが、強靭な肉体を活かしたボール奪取や、ボールを運ぶ際の推進力は健在です。カンテやセスクにかかる守備の負担を軽減することは勿論のこと、奪ったボールを素早く敵陣に運び、カウンターを結実させることが彼には求められています。ここ最近調子を上げている彼が攻守両面において献身性を発揮し、チェルシーに勝利をもたらせるか。この試合をご覧になる皆さんには、彼の球際での強さやボールを運ぶ際のスピード感を感じ取ってほしいです。

基本的に耐え忍ぶ展開が続くであろうチェルシーですが、ミッドウィークに試合をこなしたリヴァプールとは日程面でアドバンテージがあります(チェルシーはミッドウィークに試合なし)。先ほどご説明した守備で前半を無失点で凌ぎ、リヴァプールの運動量が落ちるであろう後半に一撃必殺のカウンターをお見舞いできるか。チャンピオンズリーグ出場圏内への浮上を目論むチェルシーの戦いぶりにご注目下さい。

ではでは、また来週お会いしましょう!


※チェルシー対リヴァプール(プレミアリーグ第37節)は日本時間7日の早朝0時30分にキックオフ!

水沼貴史(みずぬまたかし):サッカー解説者/元日本代表。Jリーグ開幕(1993年)以降、横浜マリノスのベテランとしてチームを牽引し、1995年に現役引退。引退後は解説者やコメンテーターとして活躍する一方、青少年へのサッカーの普及にも携わる。近年はサッカーやスポーツを通じてのコミュニケーションや、親子や家族の絆をテーマにしたイベントや教室に積極的に参加。幅広い年代層の人々にサッカーの魅力を伝えている。



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