サッカーの世界では何が起こってもおかしくないとよく言うが、2004-05シーズンのチャンピオンズリーグ決勝ほどその言葉が当てはまるゲームはないだろう。イスタンブールの奇跡とも言われるリヴァプールとミランの戦いは、前半にミランが3点を奪って大量リードを得た。この時点で試合の決着がついたと感じた人も多いはずだが、リヴァプールは後半に驚異の粘りを見せて同点に追いついた。
この試合で何が起こったのか最も分かっていなかったのは当時ピッチに立っていた選手だ。英『Daily Mirror』によると、当時ミランの攻撃を引っ張っていたMFカカーは未だにあの敗戦を悔やんでいるようで、今でもなぜ後半に追いつかれたのか理解ができないと語った。
「正直、数年たっても僕はまだなぜ負けたのか理解できないよ。当時の僕たちは世界最高のDFを揃えていたんだ。4バックはカフー、ヤープ・スタム、アレッサンドロ・ネスタ、パオロ・マルディーニだ。でも僕たちは6分間で3点も奪われてしまった。何が起こったのか説明できないね」
リヴァプールは後半9分にスティーブン・ジェラード、その2分後にはヴラディミール・シュミツェル、さらに4分後にシャビ・アロンソが得点を決め、わずか6分間で3得点を奪ってみせた。当時世界最高クラスのDFを揃えていたミラン がこれほど短時間で3失点もすると想像した者はほとんどいなかっただろう。
その後のPK戦でリヴァプールGKイェジー・ドュデクがクネクネした動きでミランの選手を混乱させ、PK戦を制したリヴァプールが奇跡の優勝を果たした。実際にピッチでプレイしていたカカーでさえも何が起こったのか分からなかったと語る一戦では、理屈では説明できない特別なことが起こっていたのだろう。