【特集/熾烈なる欧州カップ戦出場権争い 3】天と地の差がある6位と7位 明暗分ける“UEL最後のイス” 

UCL本戦ストレートインへ 2位を争うローマとナポリ

UCL本戦ストレートインへ 2位を争うローマとナポリ

UEL出場権は是が非でも手にしたいミランとインテル photo/Getty Images

セリエAにおけるスクデット争いの大勢は、すでに決した。

ユヴェントスによる史上初のリーグ6連覇は、数ヶ月前からの既定路線だ。マッシミリアーノ・アッレグリ監督は新システム[4-2-3-1]にチャレンジし、欧州の舞台でバルセロナを打ち破るまでにその完成度を高めた。第32節終了時点で2位ローマとは勝点差「8」、3位ナポリとは同「10」と大きく開いており、残り6試合で両者が大逆転に成功する可能性は限りなく低い。今季のユヴェントスは、戦前の予想どおりイタリア国内においては頭一つ抜けた存在となった。

UCL出場枠の残り2つは、勝点差「2」で2位を争うローマとナポリがほぼ手中に収めている。ナポリと4位ラツィオの勝点差は「9」。従ってUCL出場権争いの注目は、ローマとナポリのどちらがリーグ2位の「本戦出場権」を獲得するかに集約された。

UEL出場権争いで1歩リード ラツィオとアタランタは堅い?

UEL出場権争いで1歩リード ラツィオとアタランタは堅い?

UCL本戦出場権を争うローマとナポリ photo/Getty Images

白熱しているのはUEL出場権争いだ。セリエAに振り分けられた3枠は、コッパ・イタリア王者とリーグ4位に本戦出場権、5位に予選出場権の内訳となる。もっとも、コッパ・イタリア決勝には首位ユベントスと4位ラツィオが進出しているため、もしラツィオが5位以内でリーグ戦を終えれば、どちらが優勝しても繰り上げでリーグ6位に予選出場権が与えられる(※UEL出場権については昨季からレギュレーションが変更され、コッパ・イタリア優勝チームがUCL出場権を獲得した場合、準優勝チームの繰り上げではなく、リーグ6位が繰り上げで予選出場権を得る)。

“6位以内”をめぐる争いは、現時点での4位ラツィオ(勝点61)、5位アタランタ(同60)、6位ミラン(同58)、7位インテル(56)、8位フィオレンティーナ(52)の5チームに絞られた。

好調を維持しているのはラツィオとアタランタだ。ラツィオはシモーネ・インザーギ監督の下で守備を整備し、チーロ・インモービレ、フェリペ・アンデルソンを軸とするカウンター主体のスタイルを確立。アタランタは攻撃重視のジャン・ピエロ・ガスペリーニ監督と才能豊かな若手の躍動感が見事に噛み合い、「今季のセリエAで最も魅力的」と評されるサッカーを作り上げた。ヤヤ・トゥレの後継者と言われる20歳のコートジボワール代表MFフランク・ケシエ、90年代の大エース、クリスティアン・ヴィエリに瓜二つのプレイスタイルで移籍市場を賑わすFWアンドレア・ペターニャは、いずれもこの1年で急成長を遂げている。冬の移籍市場で国内屈指のMFロベルト・ガリアルディーニをインテルに放出したが、チームとしての勢いは衰えていない。残り6試合で強豪との対戦を残しているとはいえ、両チームには現状順位を維持する“地力”が備わっている。

プライドを捨ててでも出場権を獲得したいミラノ勢

プライドを捨ててでも出場権を獲得したいミラノ勢

“スソ封じ”をほぼ完璧にこなし、伏兵として期待される長友 photo/Getty Images

予想が難しいのは、ミラン、インテル、フィオレンティーナによる6位争いだ。6位ミランと8位フィオレンティーナの間には6ポイントの差があるが、インテルを含めた3チームの“ムラっ気”を加味すれば残り6試合で入れ替わる可能性は十分にあり得る。

全試合におけるスタメンの平均年齢がセリエAで最も若いミランは、1年近くに及んだクラブ所有権の売却交渉を終え、中国人投資家によるクラブ経営に舵を切った。新オーナーのリー・ヨンホン氏は「ファンは欧州のトップに返り咲くことを期待しており、我々には大きな責任がある」と意気込みを語る。当然ながら来季のUEL出場はその第一歩であり、期待感も大きい。カギを握るのは、本田圭佑とのポジション争いに圧勝したスソと、冬の移籍市場で加入したスピードスター、ジェラール・デウロフェウのスペイン人コンビだ。

勝点差「2」で追うライバルのインテルは、ここのところ調子を落としている。トリノ、サンプドリア、クロトーネとの3連戦を1分2敗で終えて5位から7位に転落すると、迎えたミラノダービーでは2点のリードを守り切れず2-2で決着。セリエAの順位決定方法は総得失点差が大きな意味を持たないため(勝点→直接対決の勝敗→直接対決の得失点差の順)、痛恨のドローが最後の最後に響く可能性もある。悪い流れを変えるなら、ダービーで“スソ封じ”の役割をほぼ完璧にこなした長友佑都など伏兵の奮起が必要だ。単純な戦力の比較なら、若手主体のミランを上回ることは間違いない。

フィオレンティーナは好調だ。第26節以降の7試合では3勝3分1敗と白星が先行し、中でもクロアチア代表FWニコラ・カリニッチの活躍が際立つ。第33節でインテル、第36節でラツィオ、第37節でナポリと強豪との対戦が続くため、この3試合でいかに勝点を積み重ねられるかが逆転劇の動向を左右するだろう。

スクデット争いとUCL出場権争いの大勢が決した今、ともに中国資本が動かすミラノ勢のUEL出場権争いに脚光が集まっている。両者にとって6位争いは屈辱的とも言えるが、“未来”を考えれば、来季のUEL出場権はプライドを捨ててでも獲得しなければならないプラチナチケットである。

文/細江克弥

『ワールドサッカーキング』『ワールドサッカーグラフィック』などの編集部を経て、2009年にフリーのサッカーライター/編集者として独立。現在も本 誌をはじめ、『Number』などさまざまな媒体に寄稿している。欧州からJリーグ、なでしこリーグまで、守備範囲は幅広い。

theWORLD185号 2017年4月23日配信の記事より転載

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