イタリアサッカーの歴史に大きな1ページが刻まれようとしている。スタディオ・ジュゼッペ・メアッツァ(ミラン側は古い呼び名であるサン・シーロと呼ぶ)がミランとインテルの両クラブによる共同で正式にミラノ市から買収されたことを発表した。
1926年からミランが本拠地として使用し、1947年からはインテルも共同の本拠地として使用してきた歴史あるスタジアムはイタリアの名門である両クラブによって数々の名勝負を生み出してきた。『ESPN』によると今回の取引総額は1億9700万ユーロ(約348億円)にものぼるとされており、EURO2032での使用を目指して既存のスタジアムを取り壊して、新たなアリーナへと生まれ変わるという大規模な計画が発表されている。
インテルのベッペ・マロッタ会長は「今日はミラノの街、ミラノの2つのクラブ、そしてサッカー界にとって歴史的な日だと思う」と『Sky Sport Italia』に語っている。
「私たちはこの一歩を踏み出したサン・シーロの買収により、これが新たなイタリアサッカーのアイコンとなります。両クラブが望んでいるのは現代的であること、安全性、快適さ、そして地域を象徴とするスタジアムを建設することです。これは近隣全体を活性化することも意味します。時間はかかりますが、私の考えでは、それは街全体にとって計り知れない恩恵を与えられるものになるでしょう」
ミランのパオロ・スカローニ会長は今回の件について「(EURO2032に間に合わせるという)スタジアムプロジェクトが完全に順調に進んでいることを意味するものではない」と語り、インテルのマロッタ会長もまた「登るべき山がいくつもあることは承知している」と今後のプロジェクトについて語った。
「残念ながらイタリアでこの手のプロジェクトを実行する場合、官僚主義的な課題が多くありますが、私たちは挫けません。実際、長年インテルでこの一歩を達成するために努力を続け、そして同様に粘り強く推進してくれたミランに感謝しており、必ずそこに到達できると確信しています」
クラブと代表問わず昨今のイタリアサッカー界は振るわない結果に終わることが多く、特に経済的な観点において低迷期と言える状況が続いている。そうした意味でも、マロッタ会長は「新たなスタジアムは長期的にはクラブを豊かにし、今後すべての試合で大幅に大きな収益をもたらす資産」となることを宣言している。
「スタジアムだけでなく、サッカーのムーブメント全体から最大限の価値を引き出すためにも、持続可能性を守らなければならないことは明らかです。その問題は現時点では困難であり、とりわけイタリア、スペイン、ドイツ、イギリスの間に大きなギャップがある海外でのテレビ放映権の販売でも後れを取っている状況です。スタジアムを改善するだけでなく、イタリアサッカーの水準を向上させることで、そのギャップを埋める手助けをすることができます」
イタリアの名門2クラブによるビッグプロジェクトがイタリアサッカーを再び黄金期に導くマイルストーンとなりうるのか。今後の発展に期待したい。