今季、プレミアリーグではロングスローがトレンドとなっている。『THE Sun』によれば、20-21シーズンにはボックス内へのスローインは1試合平均1回未満だったが、今季は4回に増えているという。
すでにスローインから直接得点した記録は9点にのぼっており、アーセナルのユリエン・ティンバーやブレントフォードのマイケル・カヨーデなどがロングスローからチャンスを生み出す光景がみられるようになった。
かつてロングスローの使い手として知られた元ストーク・シティのMFロリー・デラップ氏は、ポッドキャスト『On the Glass』でロングスローの流行について語っている。同氏は、今日の流行はペップ・グアルディオラのスタイルがサッカー界に根付いたことの副産物であると考えているようだ。
「過去10年を振り返ると、ペップはプレミアリーグだけでなく、あらゆるチームのプレイに大きな影響を与えてきた。ペップは常に世界最高の選手たちを一緒に育ててきたから、物事はずっと楽だ。でもノンリーグ部門に行っても、高度にプレイしようとしているのが見てとれる。アカデミーでも同じだ。多くのチームは(ペップのチームのように)プレイすることを目指して、技術的な選手を求めている。その結果、守備もヘディングもできないディフェンダーができあがるんだ」
ペップはそのポゼッションスタイルによってサッカーのイディオムを書き換え、たとえGKやDFであっても足元でボールをプレイすることが持て囃されるようになった。その結果、今の選手たちはロングスローのようなダイレクトで肉体的なプレイに弱くなってしまい、ロングスローのようなプレイが有効になったとデラップ氏は指摘した。
「アカデミー出身の選手たちがそういった状況での守備の仕方を理解していないため、ロングボールを多く入れる傾向が広がっている。ロングボール、スローイン、つまりセットプレイが見られるということだね。多くのチームにセットプレイコーチがいるのは相関関係があるが、それが新しいことだと言うのは少し失礼だ。なぜなら、それは新しいことではないからだ」
ロケットのようなスローインで名声を得たデラップ氏にとって、現在のトレンドはやや奇妙に映っているようだ。