モウリーニョの「現実主義」も長くは続かない 「詩人」タイプの指揮官とどちらが理想なのか

モウリーニョはベンフィカの新監督となった Photo/Getty Images

近年は結果もパッとしないモウリーニョ

ベンフィカはブルーノ・ラージを解任し、新たにジョゼ・モウリーニョを指揮官に迎え入れた。契約は2027年末までの2年となるようだ。

モウリーニョは理想とするスタイルを押し付けず、現実と折り合いをつけながらチームを導いていくタイプの指揮官だ。ゆえにチームを立て直すのは上手く、早期に結果がついてくる傾向がある。

自らのアイデアや手法と心中するタイプの指揮官も多いが、モウリーニョはそうではない。モウリーニョは今夏『canal 11』のインタビューで「今の監督たちは、うまくいかないことをやっては死んでいく世代だ」「でも彼らは『私は死んだ。でも自分のアイデアで死んだのだ』と言う。友よ、もし自分のアイデアで死んだら、あなたは愚か者だ」と発言している。

モウリーニョはマンチェスター・ユナイテッドを率いていた16-17シーズンのヨーロッパリーグ決勝でアヤックスに勝利した際「サッカー界には詩人がたくさんいる。だが詩人はあまりタイトルを勝ち取れない」と語ったこともある。「現実主義者」と「詩人」。どちらが指揮官として優れているのだろうかと『The Athletic』は綴っている。まさにマンチェスターでは、「自分の哲学を変えるつもりはない」と語ったルベン・アモリム監督がその哲学と心中しようとしているところだ。彼はモウリーニョから見れば、愚かな「詩人」なのかもしれない。

しかしモウリーニョの現実主義も、近年は結果を導き出せていない。マンUのEL制覇以降、モウリーニョはマンU、トッテナム、ローマ、フェネルバフチェと4度解雇されている。その間獲得したタイトルはローマ時代のカンファレンスリーグ1つだけだ。

賞味期限切れと評されることもある現在のモウリーニョ。一方、かつてレアル・マドリードとバルセロナに分かれてラ・リーガの覇権を争ったペップ・グアルディオラは「詩人」タイプの指揮官の代表格ともいえるが、マンチェスター・シティで数々のタイトルを勝ち取っている。0トップ、偽サイドバックなどペップが試した数々の戦術は今やスタンダードとなり、多くのフォロワーを生んでいる。

モウリーニョ政権は短命であると指摘されることも多い。よく言われるのは「3年目のジンクス」だ。レアル・マドリードでは3年目のシーズンが終わったあと、2度目のチェルシーでは3年目のシーズン途中に、成績不振によりチームを去っている。マンチェスター・ユナイテッドでも同じだった。そしてトッテナムを率いてからの政権はより短命になっている。

長続きしないモウリーニョの「現実主義」。しかし立て直しに適した指揮官であることは間違いなく、監督としてどちらが理想的なのかは難しいところだ。ベンフィカでは結果を導けるのか、注目が集まる。

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