遠藤航、ソサらが抜けたのにシュツットガルトが強い不思議 3位と躍進するクラブを支える地道な補強策

完成度の高いフットボールを展開するシュツットガルト photo/Getty Images

低コストで獲得してきた選手たちが成長した

首位を走るレヴァークーゼンとは14ポイントの差がついてしまったが、ここまでブンデスリーガ3位につけるシュツットガルトは見事なシーズンを過ごしている。

過去3シーズンのシュツットガルトは9位、15位、そして昨季も16位と下位に低迷していたクラブで、そのチームがいきなりトップ4に入ってくるとは予想外だっただろう。

しかも昨夏にはMF遠藤航、DFコンスタンティノス・マヴロパノス、ボルナ・ソサ、GKフロリアン・ミュラーといった主力を手放している。どちらかといえば、今季はもっと苦しいシーズンになると予想した人の方が多かったのではないか。
しかし、ここまでセバスティアン・ヘーネス率いるシュツットガルトは見事な時間を過ごしている。ブンデスリーガ公式は全選手が素晴らしいと絶賛しているが、シュツットガルトがコツコツと重ねてきた的確な補強策が成果に繋がった印象だ。

今季はブライトンからレンタルで加えたFWデニス・ウンダブ、バイエルンからレンタルで加えたGKアレクサンダー・ニューベル、ヘルタ・ベルリンから50万ユーロで獲得したDFマクシミリアン・ミッテルシュテットらが奮闘していて、中でもリーグ戦14ゴールを挙げているウンダブのブレイクは予想以上だった。

過去を振り返ると、2020年にドイツ2部のハノーファーからDFヴァルデマール・アントンを400万ユーロで獲得し、フライブルクからは130万ユーロでDFパスカル・シュテンツェルを補強。2人は今も主力だ。

さらに2021年にドイツ2部のパダーボルンから250万ユーロで獲得したMFクリス・ヒューリッヒはブンデスリーガを代表するテクニシャンの1人となり、今季ここまで7ゴール7アシストと躍動。ドイツ代表にも選ばれる実力者へと成長した。

同年に獲得したDF伊藤洋輝も大当たりで、翌年には2部のハンブルガーSVから370万ユーロでDFヨシュア・ヴァグノマン、フリーでドイツの若き大型DFダン・アクセル・ザガドゥなど現チームを支える主力を低コストで獲得している。この積み重ねが今に活きている。

シュツットガルトのようなチームが躍進した場合、シーズン終了後に主力の数名を引き抜かれる可能性がある。今夏もそれは避けられないかもしれないが、ブンデスリーガ公式はヘーネスの下でスタイルが浸透しているシュツットガルトならばそれにも対応できるのではと期待をかけている。

もっともヘーネスも注目の青年指揮官としてビッグクラブから注目されているため、こちらも安心はできない。しかし、今季の戦いぶりから来季は欧州カップ戦での躍動にも期待がかかる。今の組織力は高いレベルでも通用するはずだ。

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