アズーリから消えたカテナチオの伝統 カンナバーロは「今のチームは集中力を失う場面が多すぎる」

長くイタリア代表を支えたカンナバーロ photo/Getty Images

先日のウクライナ戦でもクリアミスから失点

指揮官がロベルト・マンチーニからルチアーノ・スパレッティに電撃交代したイタリア代表は、12日に行われたEURO2024予選で何とかウクライナ代表を2-1で撃破。スパレッティ政権初勝利を飾り、グループ2位に浮上した。

とにかく勝ったことが収穫だが、まだ不安定なところはある。特にウクライナ戦の失点シーンでは、イタリア代表DFフェデリコ・ディマルコのクリアが中途半端になり、それを相手に押し込まれてしまった。相手のシュートをGKジャンルイジ・ドンナルンマが弾いたところで、ディマルコはシンプルに遠くへクリアすべきだったかもしれない。繋ごうとしたのか、中途半端に蹴ったボールが相手のFWアンドリー・ヤルモレンコの目の前に転がってしまった。

こういうプレイも含めてだろうが、元イタリア代表DFファビオ・カンナバーロは集中を失うシーンが多いと現アズーリに苦言を呈する。カンナバーロといえば2006年のワールドカップ・ドイツ大会を制した当時の絶対的リーダーであり、カテナチオの意志を継ぐ超ワールドクラスのセンターバックだった。
伊『Calciomercato』によると、カンナバーロは最近のアズーリは守備力が物足りないと指摘し、フランコ・バレージらのようなOBが欲しいとコメントしている。

「数字的には守備力が足りないね。センターバックを見つけるのは難しいものなんだ。今のバストーニや他の選手が優れていないという意味ではないが、今の選手は3人でディフェンスすることに慣れている。ネスタ、マルディーニ、バレージといった選手が欲しいね。もっとイタリアらしいメンタリティに立ち返るべきだ。今のチームは集中力を失う場面が多すぎるよ」

最近ではセンターバックに繋ぐ技術が求められるケースが多く、何でも出来るDFが好まれる傾向にある。イタリア・セリエAでもそうした動きはあるが、そのぶん伝統のカテナチオを思わせる守備力の高いセンターバックは減少傾向にあると言えるか。

特に代表チームはクラブと違い、組織的な攻撃を構築するのが難しい。より個の能力が重視されるところがあり、代表戦ではネスタやマルディーニのように個の力でも相手アタッカーを封じ込められる対人戦に強いDFを揃えた方が強いのかもしれない。いずれにしても現アズーリは守備のタレントも小粒になっている印象が否めず、守備職人と呼べる選手はかなり少なくなっている。

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