アルテタ、アモリム、スティルら世界を騒がす青年指揮官たち 続々出てくる頼もしき若手指導者

アーセナルを指揮するアルテタ photo/Getty Images

30代の指揮官も珍しくない世界に

選手同様、監督にも世代交代の波はくるものだ。特に近年は新時代を予感させる青年指揮官の活躍が目立つ。

今季一番評価を伸ばした青年指揮官といえば、やはりアーセナルをプレミアリーグ首位へ押し上げたミケル・アルテタ(40)だろう。

成功までやや時間を要したが、アーセナルが粘り強くアルテタ政権を支持したことが今の成功に繋がっている。マンチェスター・シティでジョゼップ・グアルディオラの指導を受けていたことも大きく、独自の哲学が確立されている印象を受ける。アーセナルでの仕事に終わりが来たとしても、ビッグクラブから引く手数多となるのは間違いない。
そんなアーセナルをヨーロッパリーグ決勝トーナメント1回戦で撃破したポルトガルの名門スポルティングCPを指揮するルーベン・アモリム(38)も注目の青年指揮官だ。

トップチームでの監督業をスタートさせたのは2019年のことで、始まりは同じポルトガルのブラガからだった。ブラガでの仕事は短いものだったが、2019-20シーズンに国内カップであるタッサ・ダ・リーガを制覇。

2020年にはスポルティングCPの指揮官に就任するのだが、凄いのはタッサ・ダ・リーガでの成績だ。スポルティングCPでも2020-21、2021-22シーズンとタッサ・ダ・リーガを連覇し、昨季も準優勝を果たしている。4季連続でアモリム率いるチームがファイナルへ進んでいることになり、カップ戦で強さを発揮してくる点は興味深い。

2020-21シーズンには国内リーグ制覇も実現しており、今後が楽しみなポルトガルの名将候補と言ったところか。

ドイツではバイエルンから王座を奪わんとするドルトムント指揮官エディン・テルジッチ(40)に注目が集まる。2020年にルシアン・ファブレが解任された際に暫定指揮官を務めると、チームのテクニカル・ディレクター職を経て今季より再び指揮官に就任。

序盤は苦戦していたが、後半戦では見事なゴールラッシュで一気にブンデスリーガ首位へ躍り出た。バイエルンからブンデスリーガのタイトルを奪えば大きな騒ぎとなるはずで、ドルトムントがテルジッチに賭けた選択は大正解だったと言える。

まだ結果が出るかは分からないが、ベルギー代表が退任したロベルト・マルティネスの後任に37歳のドメニコ・テデスコを選んだのも注目だ。代表監督では経験値が重視されることが多く、37歳のテデスコを抜擢したベルギーの判断がヒットするかは注目だ。

クラブではライプツィヒを指揮してDFBポカールを制した実績があり、ナーゲルスマンとともに注目されてきたドイツの青年指揮官だ。

気は早いが、未来のベルギー代表監督候補に挙げられるのがヴァンサン・コンパニ(36)だ。ベルギー代表のレジェンドプレイヤーであるコンパニは、現在イングランド2部のバーンリーを指揮して首位に立っている。その攻撃的なスタイルはイングランド国内でも注目を集めており、来季はプレミアリーグでの戦いに臨むと予想される。アルテタと同じくグアルディオラに影響を受けている人物でもあり、アルテタと同じルートを辿る可能性も考えられる。

そして若手指揮官の中でも最大のサプライズとなっているのが、今季途中よりフランスのスタッド・ランスを指揮するウィル・スティル(30)だ。早い段階から選手ではなく指導者のキャリアを目指したスティルは、ベルギーのリールセやベールスホットでビデオ分析やアシスタントコーチの役割を経てスタッド・ランスの指揮官に就任。

日本代表FW伊東純也も所属するスタッド・ランスで19戦無敗のランを見せるなど、今季最も話題を集める若手指揮官となっている。本人はプレミアリーグでの指揮に憧れがあるようで、このまま評価を上げればその夢も早く実現するかもしれない。

30代の指揮官が頑張っているのも特長的で、指揮官の世界にも世代交代のようなものはある。若い指揮官が新たなトレンドを生むこともあり、アルテタやスティルらは未来の名将候補だ。

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