W杯の活躍で市場価値が倍増 “遅咲きストライカー”がドイツ代表を復権させる?

ドイツ代表で輝くニクラス・フュルクルク photo/Getty images

ここぞという場面で決めることができる

FIFAワールドカップでは4度の優勝経験を持つドイツ代表。直近のタイトル獲得は2014年のブラジル大会で、2002年には準優勝、2006年と2010年には3位を経験している。

しかし今回のカタール大会ではまさかのグループステージ敗退となった。

ドイツはグループステージ初戦で日本と対戦。前半から圧倒的なポゼッションを誇ると、左右にボールを振り分け日本の守備陣を苦しめる。すると、前半左右へのパスの散らしで相手の隙を突いてPKを獲得。キッカーのイルカイ・ギュンドアンが冷静に決めて先制に成功した。前半の日本はカウンターができないほど勢いがなく、ドイツの勝利は近いと予想していたサポーターは多かっただろう。
しかし後半日本が息を吹き返す。4バックから3バックにシステムを変更し、これが大当たり。後半だけで2ゴールを奪って結局、日本がドイツを破っている。

初戦を落としたドイツは2戦目で勝ち点を挙げ、グループステージ最終戦のコスタリカ戦でも勝ち点を挙げた。が、日本がスペインに勝ったことで、グループステージ3位でカタールを去ることになった。

ドイツがグループステージ敗退となるのは2大会連続だ。ロシア大会でも決勝トーナメントに進出することができていない。

ドイツを悩ませるのは、絶対的な得点源の不在だ。ブンデスリーガで躍動するバイエルン・ミュンヘンには以前までロベルト・レヴァンドフスキがいたが、ドイツ代表にはいない。そのためボールを支配しても得点が奪えないのだ。分かりやすいのが、初戦の日本戦で、あれだけチャンスを作るも奪ったゴールはわずか1だった。

スペイン戦とコスタリカ戦でゴールを決めたニクラス・フュルクルクは今後の可能性に満ちた選手だ。29歳のストライカーで、W杯出場は今大会が初となる。それでも前線で存在感を示し、スペイン戦では同点弾を挙げてチームを救った。

ストライカーなしでこれまで戦ってきたドイツだが、バイエルンがエリック・マキシム・シュポ・モティングを起用してから安定して勝てているように、ストライカーを中心に戦術を決めるべきだ。近年は守備時の強度が高まっており、得点を奪う選手がピッチにいなければゴールを積み重ねることはできない。

『transfermarkt』でのフュルクルクの市場価値は高まっている。500万ユーロから倍額の1000万ユーロになっており、今後もさらに伸びるかもしれない。

2年後の2024年にはドイツで欧州選手権が開催される。前回はベスト16で姿を消しており、ストライカーを中心にすることで返り咲くことはできるのだろうか。

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