英2部で首位走るバーンリーに起こった革命 “平均ボール支配率60%”ポゼッションスタイルへの移行に成功したコンパニの手腕

バーンリーを成功に導くヴァンサン・コンパニ photo/Getty images

以前のバーンリーではなくなっている

イングランドの実質2部とされるチャンピオンシップ。今季は24チームが頂点を争っており、第17節までが消化された。首位は勝ち点32ポイントのバーンリーで、勝ち点30と2ポイント差のQPRとブラックバーンが続く。

バーンリーは昨季までイングランドのトップカテゴリーであるプレミアリーグで戦っており、今季昇格を掴めれば最短での返り咲きとなる。

バーンリーといえば長くショーン・ダイチがチームを率いており、スタイルは堅守速攻を基本としたイングランドスタイルだ。ロングボールやクロスを多用する戦い方で、より後方からつなぐようになった現代のトレンドとは少し違う。しかしそのダイチ政権は昨季で終わりを迎えており、今季から元マンチェスター・シティのヴァンサン・コンパニが監督に就任している。
このコンパニがチームを変えた。チームは首位を走っており、17試合で敗れたのは1試合のみ。それは序盤のワトフォード戦での話であり、現在公式戦は15試合負けがない。

そんなバーンリーで起こった変化でいえばスタイルだ。以前は堅守速攻、ロングボールを多用する古典的なイングランドスタイルだったが、現在は後方からしっかりとつなぐ現代的なポゼッションを重視したチームに変貌を遂げている。実際にここまでの平均ボール支配率は60%と2部では断トツの数字である。

英『The Athletic』ではどのようにしてバーンリーが今のチームに変わったのか詳細に明かしている。

まずコンパニが監督に就任する際にクラブ側は不安要素を抱えていたようだ。それがイングランドでの監督経験の有無だ。コンパニの監督としてのキャリアはアンデルレヒトのみであり、それほど長いものではない。それでもバーンリーはコンパニとビジョンが一致していることから招聘を決めたという。

コンパニがバーンリーで起こした改革はいくつかあってその一つがチームのモチベーション向上だ。コンパニは選手たちに「団結」と「ハードワーク」が重要な項目であることを告げ、チーム内の意識を高めていった。トレーニングの時間も長くし、何度もミーティングを開くことで試合の中で起こる様々な事象に細部までこだわった。攻撃時の動き方、守備時の動き方、ゴールキック時の配置などすべての出来事に対して共通認識を作る。

バーンリーは今季監督だけでなく選手も大きく変わった。13選手が退団し16選手が新たにチームに加わった。守護神のアリヤネット・ムリッチやセンターバックのテイラー・ハーウッド・ベリスがそうだ。彼らは新加入組ながら新体制のバーンリーを先発組として支えている。

補強にも工夫があったようで、独自のデータと分析モデルを駆使し安価でリスクが低く、将来性のある選手に獲得を絞ったという。ムリッチは23歳、ハーウッド・ベリスは20歳と若く、その工夫が強い将来性のあるチームを作り上げた。両者ともにシティ出身の選手ということもあってコンパニが志向するポゼッションスタイルを支えている。

チャンピオンシップでは17試合で30ゴールと最多得点数を記録しているバーンリー。その中心にはコンパニがおり、来季はプレミアリーグの舞台で戦うことになるのだろうか。

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