ヴァイッド・ハリルホジッチは、ワールドカップ・カタール大会でモロッコ代表を上位へ導くべくどんな戦術プランを練っていたのだろうか。残念ながら、そのプランを見ることは出来なくなった。
モロッコサッカー協会はハリルホジッチの解任を決め、ハリルホジッチはコートジボワール代表、4年前の日本代表に続き、3度目となるワールドカップ直前での解任を味わうことになった。
モロッコではチェルシーMFハキム・ツィエク、バイエルンDFノゼア・マズラウィら主力選手との関係が悪化し、ハリルホジッチは彼らをチームから外す機会が増えていた。一方でモロッコ側はツィエクらのワールドカップ出場を望んでおり、そこの意見が一致しないことからハリルホジッチ解任に繋がったとされる。
確かにツィエクはモロッコの看板選手であり、同選手抜きでワールドカップを戦うのは不自然にも思える。代表監督には選手選考の権利があるはずだが、このあたりはバランスが難しい。
今回の解任についてハリルホジッチはセルビア『Reprezentacija』に対し、次のように語っている。
「私は呪われているのか? 成績的に私は彼らにとって歴史上最も成功した指揮官だと思うが、それは問題ではないようだ。3度もワールドカップの前に離れるのは残念だ。特に自分が努力してきたことを理解しているからね。私は人が自分をどう思っているかは気にしていない。ただ、ワールドカップへ誰を連れて行くのかの選択を監督が一度でも他者に許せば、それはもう指揮官ではない。選手たちの信頼だってすぐに失くなる」
ハリルホジッチの選手選考が独特なのは確かだ。その真意をはっきりと明かさないところもあり、日本代表でもハリルホジッチの選考基準はトリッキーなところがあった。MF井手口陽介などそのおかげでブレイクした若手もいたが、そのマネジメント方法には賛否両論ある。
ハリルホジッチにはツィエク抜きのプランがあったのだろうが、モロッコ側は同国最高峰のスター抜きでワールドカップを戦うことは許せなかったのだろう。ツィエク抜きでもハリルホジッチのプランがハマればカタールの地で快進撃を見せる可能性はあったはずだが、モロッコの決断は吉と出るのか。