バイエルンは、将来的にFWロベルト・レヴァンドフスキの後継者に誰を指名するのだろうか。実力的に考えれば、ドルトムントで活躍していたアーリング・ハーランドは絶好のターゲットだったはずだ。
しかし、ハーランド獲得をまとめたのはマンチェスター・シティだった。レヴァンドフスキの去就がどうなるかまだ見えないが、ハーランドを逃したのは痛い。ブンデスリーガで活躍した選手がバイエルンに引き抜かれるパターンは過去に何度もあったが、資金力ではイングランドのメガクラブが上をいく。ハーランドのように争奪戦となれば、今のバイエルンが抑えるのは難しくなる。
今季のバイエルンはチャンピオンズリーグでも優勝候補に挙げられていたが、準々決勝で伏兵ビジャレアルに敗れてしまった。来季こそはとの考えもあるはずだが、戦力的に頂点を目指すことは可能なのか。これには独『sky Sports』で元ドイツ代表のローター・マテウス氏も疑問を語っている。
「私は来季のチャンピオンズリーグでバイエルンを候補とは見ていない。陣容は弱体化し、クオリティは落ちている。数名の選手は年齢を重ねすぎていて、彼らはビッグゲームで上手くプレイできない。サラリーの問題もある。今はバイエルンよりプレミアリーグのクラブの方が多くの給与を払っていて、移籍をまとめるのが難しくなっている。数年前にバイエルンはレヴァンドフスキ獲得をまとめたが、今ではハーランドに関して尋ねることも出来なかった。これはクラブとリーグ全体にとって深刻な問題だ。今後の10年で、ドイツのベストプレイヤーたちは全員バイエルンではなくイングランドにいるだろう」
確かに高額なサラリーは選手を惹きつけることになり、イングランドではビッグクラブに加えて最近はサウジアラビアの政府系ファンド『PIF』の買収が決まったニューカッスルも市場を騒がせている。中堅クラブにもマネーパワーがあるのがイングランド勢の凄いところだ。それに他リーグが張り合っていくのは難しい。
近年のバイエルンの成功にレヴァンドフスキやGKマヌエル・ノイアー、FWトーマス・ミュラーといった選手が大きく貢献していたのは事実で、そろそろ世代交代に備える時期を迎えている。同じレベルのクオリティを備えた選手を迎えたいが、当然スター選手には他のメガクラブも手を伸ばしてくる。そこでの争奪戦はやや分が悪いか。
果たしてバイエルンはベテラン選手からどう世代交代していくのか。ここを上手くまとめなければ、競争力を失ってしまう可能性がある。チャンピオンズリーグはもちろん、国内リーグでの支配も終わるかもしれない。ハーランドがイングランドへ向かったことは、バイエルンだけでなくブンデスリーガ全体で考えていくべき問題か。