冨安健洋は1試合で左SB、右SB、CBをこなした 日本の至宝が持つ多様性

復帰後からエンジンフルスロットルで活躍する冨安健洋 photo/Getty Images

ユーティリティ性がより求められている

13日にトッテナムのホームで行われたアーセナルとのノースロンドンダービー。4位アーセナル、5位スパーズの直接対決であり、アーセナルが勝てばCL出場を決め、スパーズが勝てばアーセナルのCL出場が遠のくゲームであった。

試合は早々に動いた。ソン・フンミンが獲得したPKをハリー・ケインが落ち着いて決めると、33分にアーセナルCBのロブ・ホールディングが2枚目のイエローカードを提示され、退場処分となってしまう。アーセナルとしては1点のビハインドですら苦しい状況だったが、さらに人数不利となってしまった。ここから逆転を目指すも、最終的には3ゴールまで差を広げられ、0-3と完敗となった。それでも、スパーズとは勝ち点差が4ポイント開いていたため、順位の変動はなかったが、残りの2試合を落とすことになればスパーズに逆転を許す可能性も大きくなる。

難しいゲームを戦ったアーセナルだが、日本代表の冨安健洋はその中で輝きを放っていた。キーラン・ティアニーの怪我もあり、2試合連続で左SBに入ると、攻守に躍動。前線で起点を作るシーンもあり、左サイドを活性化させていく。その後ホールディングの退場もあって右SBにポジションを変え、最後は中央でCBを務めている。10人という難しい状況の中で冨安のようなユーティリティプレイヤーは非常に頼もしい。冨安は判断力、それを実行できるスキルの高さを備えており、スパーズのエースハリー・ケインと対峙しても冷静さを保ち、攻撃を防いでいる。

アーセナル自体は大敗となったが、イングランドでの冨安への評価は高い。英『football.london』の試合後の採点ではチーム最高となる「7」を獲得。守備での頼もしさ、多様性を評価されており、敗れてもなお称賛されている。

以前は右SBとして継続的にプレイし、評価されていた冨安だが、怪我からの復帰後はユーティリティ性の面でさらに評価を高めている。怪我で評価は落ちかけていたが、今ではすっかり回復しており、批判の声は全く聞こえてこない。1860万ユーロという今の活躍に比べれば安すぎる金額で獲得されており、怪我さえなければ今季プレミア最高の補強に名を連ねていた可能性は十分にある。英『The Guardian』が作成した21-22シーズンのプレミア補強ランキングではトップ10にも入っていないが、やはり怪我での離脱が悔やまれるところだ。

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