カタール大会へミラクルあるか
スポーツの世界ではフレッシュな若手選手にスポットが当たる機会が多く、ベテランは調子を落とせばすぐに衰えを指摘されるものだ。サッカー界では30代プレイヤーにそうした批判が集まる傾向にあるが、ベテランにも意地がある。
2日の南米予選で底力を見せてくれたのは、チリ代表FWアレクシス・サンチェスだ。
チリは今もサンチェスやGKクラウディオ・ブラーボ、DFガリー・メデルら30代プレイヤーが代表の中心メンバーになっており、世代交代が進んでいないのは明らかだ。現在インテルでプレイするサンチェスも、全盛期は過ぎたとの見方もあるだろう。
実際にベテランの多いチリは今回の南米予選でも苦戦しており、崖っぷちの状況だった。その中で迎えた2日のアウェイ・ボリビア戦にて、チリを救ったのがサンチェスだった。
前半14分に先制点を決めると、85分には決勝点を記録。高地のボリビアとアウェイで戦うのはかなり不利だが、33歳・サンチェスはフル出場でチームを3-2の勝利に導いたのだ。サンチェスが代表戦で2得点を挙げるのは、2016年11月のウルグアイ戦以来のことになる。約5年ぶりの1試合2発となり、サンチェスにも意地があったのだろう。
このボリビア戦でサンチェスはキャプテンマークを巻いているが、サンチェスはこのゲームまで南米予選7試合連続無得点と苦しんでいた。追い込まれた状況で結果を出してくるあたりは、さすがチリ代表歴代最多得点記録の持ち主といったところか。
チリは現在南米予選で6位だ。カタール大会出場へ厳しいのは変わりないが、5位に入って大陸間プレイオフに望みを託すことはできる。5位ペルーとは勝ち点差2、4位ウルグアイとは勝ち点差3だ。
残り2試合の相手がブラジルとウルグアイなのは苦しいが、2010年代を支えてきたサンチェスらチリのベテランたちはミラクルを起こせるか。おそらくはサンチェスにとっても最後のワールドカップとなるはずで、3月に行われる勝負の2連戦はサッカー人生をかけた激しいものとなるだろう。