水沼貴史です。今年も冬の移籍市場で、さまざまな日本人選手が戦いの場を欧州へと移しています。その中で前田大然、井手口陽介、旗手怜央の3名が一挙にセルティックへ移籍しました。昨夏に加入していた古橋亨梧を含めると、4名もの選手がスコットランドの名門クラブでプレイすることとなったのです。これは本当に凄いことだと思います。そこで今回は、セルティックでプレイするこの4名の選手にフォーカスしたいと思います。
もちろん、4名もの日本人選手がセルティックでプレイすることとなった背景には、昨年6月まで横浜F・マリノスで指揮を執っていたアンジェ・ポステコグルー(現セルティック監督)の存在があるでしょう。彼は日本人のことをよく理解していますし、獲得した日本人選手がチームにどのような影響をもたらすのか計算できていたはずです。ただ、彼が指揮官になるだけではこのような状況にはなり得ない。セルティックでは「中村俊輔がプレイしていた」という大前提もありますが、日本人のポテンシャルというものが欧州で認められてきた、それだけの選手が育ってきたという証拠でもあるでしょう。
そのような中で、一足先に加入していた古橋が今季前半戦で素晴らしい結果を残しました。また、冬の「一挙3選手獲得」に対して議論はあったかもしれませんが、彼らもデビューからわずか数試合のプレイでその不安を払拭して見せた。ポステコグルーは、周りの選手やセルティックサポーター、スコットランドリーグに関わる人たちに「ほらね!」「日本人選手はこれだけできるんだよ」と思っていたかもしれませんね。
ここからは個々の選手に触れていきたいと思います。まずは古橋ですが、ここまで公式戦26試合に出場し、16ゴール5アシストの大活躍。現在は負傷離脱していますが、抜群のインパクトを残しました。ポステコグルーのサッカーがスピードタイプを重宝することもありますが、それにしても素晴らしい活躍と思います。そして、古橋は得意のスピードを活かしたプレイだけでなく、ボールの受け方やボールを受けるまでの駆け引きにも磨きをかけており、全ての面に大きな成長を感じられます。フィニッシュワークを含めて、さまざまな能力がスコットランドで証明できていますね。
ただ、古橋のここまでの道のりは決して順風満帆ではなかったかもしれません。高校卒業後は中央大学へ進学し、プロ生活が始まったもの日本のトップリーグではなく、J2のFC岐阜でした。そこからヴィッセル神戸へ移籍し、日本代表にも選ばれ、どんどんステップアップしている過程を見ると、彼の努力による伸びしろが凄まじい。古橋の吸収力や成長スピードの凄さは、あちらこちらで耳にしますし、上のステップへ行ってもしっかりと順応して、それをさらに超えてやろうという気持ちも感じられます。岐阜時代の恩師である大木武(現ロアッソ熊本監督)、ヴィッセル時代には世界的プレイヤーでもあるアンドレス・イニエスタやダビド・ビジャ……。さまざまな人と出会い、影響を受け、それらをしっかり吸収することで、今へと繋がっているのだと思います。まずは怪我をしっかり治すことが大事ではありますが、今後はさらに結果を残し、まだまだステップアップしていってほしいですね。