以前の輝きを取り戻したい
リヴァプールとの重要な一戦を引き分けで終えることになったトッテナム。白星を挙げることができなかったのは、残念だがレッズ相手に台頭に渡り合っており、シーズン途中からチームを率いているアントニオ・コンテの手腕が評価されるべき試合となった。
特に以前までは存在感を薄めていた選手の躍動だ。中盤の底からゲームを組み立てやハリー・ウィンクスしかり、決定機を外すも攻撃面で違いを見せたデル・アリはマウリシオ・ポチェッティーノ時代に中心的選手であったが、前ヌーノ・エスピリト・サント時代には影の薄かった選手だ。ディフェンスリーダーとして後方からチームを支えたエリック・ダイアーも出場機会こそあったが、ここまで頼れる選手ではなかった。
2014年にスパーズと契約したダイアー。センターバックだけでなく、中盤もこなせるユーティリティ性の高い選手であり、プレミアでは27歳にして既に217試合に出場の経歴を持っている。現在は代表から遠のいてしまったが、以前まではスリーライオンズの常連であり、2018年のワールドカップ・ロシア大会では中心選手としてチームを支えていた。
だが、度重なる不用意なミスから不安定な選手と評価されてしまっており、前述したようにそこまで頼れる選手ではなかった。しかし、レッズ戦でのパフォーマンスはその評価を覆る可能性を秘めていたことは間違いない。
3バックの中央にポジションをとったダイアー。188cmの高さを生かした空中戦の強さは健在であり、何度も攻撃を跳ね返している。ビルドアップでは元中盤でプレイしていた経験を生かす視野の広さとキック精度の高さを武器に14本中12本のロングパスを成功させている。全体のパス本数もチームトップとなる51本を記録しており、中盤の底に入ったハリー・ウィンクスと共にパスで攻撃をコントロールしていた(データは『WhoScored.com』より)。
「3バックの中央は彼にとって最適なポジションだ。課題もあり、改善する必要はあるが、そのポジションで世界最高の一人になることができる」(英『90min』より)。
ダイアーのパフォーマンスを称賛するコンテのコメントだ。まだまだ完全ではないが、これからの成長を示唆しており、ダイアーとしてもここまで褒められればモチベーションアップに繋がるはずだ。