「バカヨコよりも出来が悪い……」 誤算だったチェルシーのスペイン代表MFの実力

イングランドでは苦難の連続となっているサウール photo/Getty Images

期待感を上回ることはできていない

選手の獲得を発表した際は大きな期待感に包まれるも、実際はその期待感を超えられることは少ない。今夏の移籍市場でチェルシーに加入したサウール・ニゲスがまさにそうだ。

アトレティコ・マドリードのユースで育ち、そのままトップチームデビューを飾ったサウール。豊富なスタミナと強度の高いプレイを武器としており、闘将ディエゴ・シメオネに重宝されていた。だが、徐々に出番を失ったことで出場機会を求めて今季からキャリア初となるイングランドを舞台にプレイしている。

加入前、サウールへの期待は高かった。戦える中盤戦士としてのイメージが強く、エンゴロ・カンテ、ジョルジーニョ、マテオ・コバチッチに続く頼れる4人目のボランチとして注目されていた。だが、現状ではルベン・ロフタス・チークとロス・バークリーに続く6番目のMFであり、中盤登録の選手の中で最も少ない出場時間となっている。

具体的に何がいけないのか。まず、ポジショニングが気になる。チェルシーは[3-5-2]を採用しており、サウールはダブルボランチでピッチに立つことが多い。役割としては昨季のカンテやジョルジーニョと同じだ。パスの受け手出し手として攻撃をスムーズに機能させ、守備でも強度の高さを見せる。サウールにはプラスアルファとして、アタッキングサードで違いを生むことも求められたといえるが、トゥヘルが要求するレベルには達していなかったか。受けられないポジションでボールを要求する場面が散見されており、それでは後方からパスは出てこない。また、単純にフィジカルが足りていないのか、当たり負けすることも多く、以前のような強度の高さはない。

英『football.london』では、現在チェルシーからローン移籍で加わっているACミランのティエムエ・バカヨコよりも出来が悪いとサウールのパフォーマンスを酷評している。バカヨコといえばベルナルド・シウバやキリアン・ムバッペらと共にモナコでブレイクした選手の一人であり、2017年にブルーズに加入している。初年度こそ出番を得ていたが、その後はミランや古巣のモナコ、ナポリとクラブを転々としており、チェルシーでは戦力として見られていない。その選手よりも評価が低いとなれば、サウールの獲得は失敗だといっても過言ではない。

チェルシーとしては誤算だったサウールの実力不足。契約は買い取りオプション付きだが、現状延長される可能性は限りなく低く、サウールのイングランド挑戦は失敗に終わりそうだ。

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