[MIXゾーン]大型補強も生かすのは監督の采配 見せた“これからの神戸”の片鱗

新加入の武藤が早速アシストと結果を残す(写真はイメージ) photo/Getty Images

途中投入の武藤が決勝点のキッカケに

 ACL出場権を狙う上位対決となった神戸対鹿島。なんといっても注目はこの夏に大型補強を見せた神戸がどのような戦いを見せるかである。ただ現実的にはベンチにFW武藤が名を連ねたのみで、選手の合流、チームへのフィットはもう少し先のことになる。この試合に限っていえば、神戸はMFサンペールを出場停止で欠いており、鹿島の強烈なプレスをどうかいくぐるかが問題だった。

 その予想は的中し、前半立ち上がりから神戸はなかなかビルドアップできずに苦しむ。[3-5-2]の布陣を引いたが、その3バックに鹿島は蓋をするようにプレスをかける。GK飯倉も出しどころがなくて、結果的にロングボールを蹴らされることの繰り返しだった。

 鹿島の相馬監督は「どちらかというと前半の最初のほうは、我々のほうがリズムをつかみながら」プレイできていたと感じていた。ただ「非常にピッチコンディション、そして連戦の中、そして湿度。温度というよりも湿度。非常に蒸し暑い中で、お互いに消耗する戦いだった」。

 水曜日に天皇杯があったことで、鹿島は3連戦を強いられている。一方の神戸は先週末の広島戦が豪雨で中止になっている。この差もあっただろう。結果「お互いに自分たちの時間が入れ替わるような、そういう形になったかなというふうに思う」。

 対する神戸の三浦監督は「試合の入りは我々の狙いどおりには試合の展開が進まなかった。(前半の)飲水タイムを機にちょっとシステムを変え、90分の中で三度のシステムを変更した。全部でトータル4つのフォーメーションを変えた中で、選手たちが戦術理解度高くプレイをしてくれて、最後までよく戦ったと思う」。

 最初山口だけの1ボランチでスタートしたものの、途中で前目でプレイしていた郷家を下げてダブルに。山口の両サイドにできるスペースを消しにいった。細かな修正だったが、試合展開の中で要所要所でチームを微調整しながら戦っていた。試合最後には4バックにするなど、戦術的な引き出しも増えている。

 試合は全体的には鹿島のペースで進んだが「毎回取れるわけでは当然ない。決してチャンスが作れてないならばそちらは問題だと思うが、チャンスも作りながら中・外という形の中でチャンスも作れていたと思う。そこを決めないことにはこういう形で悔しい思いをしなければいけない」と相馬監督は悔やんだ。

 逆に神戸は79分に途中投入されたFW武藤がカウンターでラインの裏に抜けだし、中央に走り込んだFWドウグラスに。ドウグラスはつぶれ役となり、その背後に駆け上がっていた山口が体を投げ出すようにして、そのままボールと一緒にゴールに。試合を通じて唯一のゴールが決まった。

「ああやって長い距離を走って前まで出ていけるのが自分の特長でもあるので、最後まで信じて走った」(山口)

 アシストを記録した武藤については「僕と(酒井)高徳は代表でも一緒だったので特長も分かっている。彼は体力的にきついところもあったと思うが、最後まで出し切ってくれたと思う」

 合流3日目での試合出場のチームメイトを気遣い、そして今できることを充分にやってくれたと評した。神戸にとっては苦しい試合を拾ったというだけではなく、公式戦で連敗中だっただけに非常に価値のある山口のゴールだった。

 三浦監督は「鹿島さんはチームとしてインテンシティーの高いチーム。組織としても整備されたチームなのでやさしい試合ではないというのは分かっていた。その辺を選手たちがよく理解し、今日の試合の重みを感じながらとにかく戦ってくれたと思う」と選手たちの頑張りを誉めた。

 最後に武藤については「本人(武藤)は反省の弁をけっこう述べていた。『自分がロストして少しオープンな展開になった』という話をしていた。今コンディションが100%でない中で、彼の持ち味をしっかり出してくれて、結果に結びつけてくれたと思う」。

 今後武藤に続いて大迫、ボージャンが合流する。三浦監督がどのような采配で彼らを使いこなすのか。お手並み拝見である。


文/吉村 憲文

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