本当にEURO2020が初めての大舞台!? 5戦全勝の“PK職人”がイタリアもたらした栄光

イングランド戦で2本のシュートをセーブしたドンナルンマ photo/Getty Images

堂々と胸を張る姿には貫禄も

現地時間11日にEURO2020の決勝戦が行われ、イタリア代表とイングランド代表が対戦した。白熱した戦いは120分間でも1-1と決着がつかず、PK戦までもつれ込む展開に。イングランドが5本中2本しか成功させることができなかったのに対し、イタリアは3本成功。実質的にアウェイとなっていたイタリアだが、この逆境を跳ね除け、53年ぶり2度目の優勝を成し遂げた。

EURO2020予選を全勝で通過したり、2年半以上も負けがなかったりと、ロシアW杯予選敗退の屈辱を乗り越え、ロベルト・マンチーニ監督のもとで大きく成長して本大会を迎えたイタリア。グループステージでもその好調を維持し、3連勝で危なげなく突破した。決勝トーナメントでは120分決着に2度のPK戦と、やや苦戦は強いられたものの、アッズーリ伝統の粘り強い戦いであれよあれよという間に勝ち抜いていき、ついに欧州の頂に。イタリア代表は完全復活を遂げてみせたのだ。

怪我で離脱するまで左サイドを席巻したレオナルド・スピナッツォーラ、豊富な経験で守備に安定感をもたらしたジョルジョ・キエッリーニとレオナルド・ボヌッチのベテランCBコンビ、チームの心臓として支えたジョルジーニョ、今大会で脚光を浴びたマヌエル・ロカテッリやマッテオ・ペッシーナなど……。今回のイタリア代表には多くのヒーローたちが生まれた。いや、延長戦突入の際や試合終了後にマンチーニ監督を中心に円陣を組み、士気を高めたり、心をひとつにしたりしている姿を見ると、全員が同じ思いを胸に戦っているのが見てとれる。もしかしたら、今大会のイタリア代表は全員がヒーローだったのかもしれない。

ただ、そんな中でも特に存在感を発揮していたのが、守護神としてイタリアのゴール前に立ちはだかったGKジャンルイジ・ドンナルンマではないか。スペイン戦などでやや足元の技術やビルドアップの課題が露呈した部分もあったが、大会を通じて好セーブを連発し、それ以上に何度もチームの窮地を救ってきた。それは準決勝、決勝のPK戦でも発揮されており、2度のPK戦で計3本ものシュートストップに成功している。その結果、今大会のMVPにも選ばれた。ただ、ドンナルンマの“PK職人”としての才能は、決して偶然ではない。データサイト『opta』によると、同選手はこれまでのキャリアで5度(ミランで3回、イタリア代表で2回)のPK戦を経験しているが、ここまで全勝しているという。

ドンナルンマは長らくミランの守護神として活躍しているが、年齢はまだ22歳。さらに、クラブや代表が低迷していたこともあり、これまでチャンピオンズリーグやW杯の経験がなく、今回のEURO2020が自身にとって初のビッグコンペティションと言っていい。だが、そんなことを微塵も感じさせないパフォーマンスを披露してみせたのだ。イングランドの最終キッカーであったブカヨ・サカのシュートをセーブし、優勝が決まった瞬間に喜びを爆発させるのではなく、静かに勝利を噛み締め、堂々と胸を張る姿には貫禄すら感じた。

また、6月にミランとの契約が満了を迎え、これほどの選手が今夏に“タダ”で移籍しようとしているのだから驚きだ。もし移籍金が発生していたら、GK史上最高額の移籍金(8000万ユーロ)を優に更新していたにちがいない。現在、パリ・サンジェルマン行きが濃厚とされているドンナルンマだが正式発表はされていないため、今回の活躍により、他のクラブが獲得に乗り出す可能性もあるかもしれない。いずれにせよ、ドンナルンマにはまだまだ伸び代があり、今大会を機にさらなる成長を遂げるだろう。

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