EUROで輝く男が振り返る“苦悩の時間” 大舞台でブレイクのキッカケは掴めるか

EURO2020で印象的なパフォーマンスを披露するシック photo/Getty Images

ローマ時代には存在感薄かった点取り屋

今夏開催されているEURO2020にて、最もセンセーショナルな活躍を披露している選手といえば誰か。何人か候補は挙げることができるものの、チェコ代表FWパトリック・シック(25)はそのうちの1人に数えることができるだろう。

シックはここまでのグループステージ3試合にすべて先発出場し、3得点を挙げている。第1節のスコットランド戦で沈めた超ロングシュートのインパクトも相まって、彼は今大会で主役級の注目を集めているといっていい。チームもグループ3位で決勝トーナメント進出を決めており、今後の活躍にも注目だ。

そんな今回のEUROで一躍注目を浴びる存在となったシックだが、彼はこれまでクラブレベルでは少し苦しい時間を過ごしていたことを知っているだろうか。実はこの男、2017年夏に鳴り物入りでローマに加入するも、在籍した2シーズンでは58試合の出場で8ゴールしか決めることができなかった。FWエディン・ジェコという絶対的エースの牙城を崩すことができず、ベンチを温める日々を過ごしたしていたのだ。
そこからシックは2019年夏にRBライプツィヒへとレンタルされ、昨夏には完全移籍でレヴァークーゼンへと移った。現在、ブンデスリーガでは一定の評価を取り戻しつつある同選手だが、歩んできた道のりが険しいものだったのは間違いない。そんなローマで過ごした時間について、彼は次のように語っている。

「ローマに加入した頃は、まだ100%の準備が完了していなかったんだ。サンプドリアではある程度結果を残せたけど、セリエAで結果を残すには少し若すぎたんだね。ローマのような素晴らしいクラブでは、そのせいで困難なことが増えた。まだあのクラブでプレイする基準には達していなかったんだと思う」(伊『La Repubblica』より)

本人もローマで過ごした時間は、自身のキャリアでも難しい時間だったと感じているようだ。しかし、そんな過去を払拭するほどのインパクトをEUROで残しているシック。今大会を契機に、ようやく彼の輝かしいキャリアは幕を開けるのだろうか。ローマでは難しい時間を過ごしたものの、苦労人のストライカーが欧州最高峰の舞台で覚醒しようとしている。

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