15年前に将来を渇望されたオランダの逸材は 18歳でレギュラー獲得もバルサ移籍が分かれ目に

バルサでレギュラーを勝ち取ることはできなかった photo/Getty Images

2010年のW杯では日本戦に出場

いつの時代も逸材と呼ばれながら、ブレイクできずに現役を退いた選手は少なくない。元オランダ代表のイブラヒム・アフェライもその1人だ。彼もまたプレッシャーに苦しみコンディションを落として一線級のレベルを維持できなくなってしまった。

アフェライは17歳という若さでオランダの強豪PSVのトップチームに名を連ねた。2005-06シーズンには18歳でレギュラーに定着。翌年にはオランダの年間若手最優秀選手賞であるヨハン・クライフ賞を獲得し、未来を渇望された選手の1人だった。

そして2010-11シーズンに満を持してバルセロナへ移籍する。当時ジョゼップ・グアルディオラ監督の下、世界王者となっていたバルサへ加入し、戦力としてチームに貢献する活躍に期待された。しかし出場機会は限られ、結果を残せない日々が続く。
結果的にバルサでは2シーズンで公式戦21試合の出場にとどまる。シャルケやオリンピアコスなどにレンタル移籍するも、そこでも出場機会に恵まれない。その後はバルサからストークへ完全移籍すると2部降格も経験。2020-21シーズンにPSVへ復帰するもチームに貢献できず、今季引退を決めた。

若い頃は順風満帆な人生を過ごしていたアフェライだが、バルセロナ加入からコンディション低下が目立った。当時は欧州や世界を席巻するポジションにいたバルセロナ。そんなチームでかけられた期待が、彼をプレッシャーとして蝕んでいたのだろう。バルサの選手として活躍しなければいけない緊張感はアフェライのコンディション低下につながった。

スペインメディア『SPORT』では、アフェライが当時のバルセロナ時代についてコメントしている。

「バルセロナでは試合前に食事が提供されるが、プレッシャーから食べ物を飲み込むことができなかった」

また現在はバルサのレジェンドであるリオネル・メッシも若い頃はプレッシャーに苛まれており、アフェライは当時のメッシについても「キックオフ直前や試合中に嘔吐するメッシを見かけることもあった」と話した。

ビッグクラブでのプレイは多くの選手の憧れである一方で、加入することとなれば、多くの責任や重圧がのしかかってくる。そのプレッシャーに打ち勝つことができた選手が、ビッグクラブでレギュラーとして活躍しているのだ。アフェライも将来を渇望されるほどの技術を持った逸材だった。しかしバルサへの移籍は彼にとっては悪夢の始まりだったのかもしれない。

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