[MIXゾーン]“トリッキーなドリブラー”が鳥栖をさらに加速させる!? 後半戦へのキーマンは中野嘉大か

後半戦は鳥栖のキーマンとなりそうな中野 photo/スクリーンショット

徐々にチームにフィットしてきた

サガン鳥栖は30日、明治安田生命J1リーグ第17節でヴィッセル神戸と対戦し、1-1のドローで終えた。リーグ最小失点を誇る堅守を武器に、ここまで18試合消化して9勝6分3敗(勝ち点「33」)の4位。昨季の苦戦から一転して、今季は素晴らしい戦いを見せている。

しかし、鳥栖の監督や選手たちは現状に決して満足していない。今季のチームスローガンでもある「フルパワー」で挑み、最後まで上位陣にしっかり食らいつくこと、1つでも上の順位で終えることを目指しているからだと思う。そのためには、今後は開幕戦から好調を維持する守備陣とともに、攻撃陣の奮起も必要となってくるに違いない。18試合23得点は、上位チームとしてはやや物足りなさを感じる。引き分けの多さもこれが一つの要因となっており、わかりやすいラインであるACL圏内に入るためには、後半戦では負けないチームから勝てるチームへの進化も必要となってくるかもしれない。

今季躍動している山下敬大や林大地といったFWたちのさらなる活躍もそうだが、勝負の後半戦へ向けてキーマンとなりそうなのが今年3月に北海道コンサドーレ札幌から期限付き移籍にて加入したMF中野嘉大だ。中野は高い足元の技術と独特のリズムからなるドリブルが武器で、パスセンスも抜群。デビュー戦となった第7節C大阪戦では、45分間のプレイではあったが、加入から1週間経たずしていきなりスタメンで起用されることから見ても、金明輝監督がいかにこの選手に期待を寄せているかがわかる。この日の神戸戦後にも指揮官は「中野の器用さ、多彩さというのは、サッカー感を含めて高い」と述べており、その才能は折り紙付きだ。
今季はコンディションに不安を抱えていたことに加えて、開幕後の加入であったため、チームに適応するには決して簡単ではなかっただろう。ただ、中野はここにきて鳥栖のサッカーにフィットしてきたのではないだろうか。神戸戦ではカウンターの流れからペナルティアーク手前でボールを受けると、すぐにパスを出すのではなく、一度ドリブルで仕掛ける姿勢を見せることで相手をしっかり引きつけ、冷静に左側へ回り込んだ仙頭啓矢へパス。中野は貴重な先制点をアシストしたのだ。

また、この一戦では前半の半ばに飯野七聖が負傷したことで、インサイドハーフから急遽右サイドへ回ることになったが、しっかりとアクシデントにも対応して見せたほか、クロスからチャンスを演出したり、これまでは不安視されることもあった守備の場面でも、粘り強く対応したりするシーンが見られた。そんな中野が、試合後に神戸戦を振り返ってくれた。徐々にではあるが、やはりチームにフィットしてきたことに対して本人も手応えを感じているようであった。

ーー右サイドへ回って以降も、自分の良さを出しながらプレイできていたと思うが、意識していたことは?


「(飯野)七聖の代わりというか、自分の特長は違うので、どのポジションでも自分の良さを出すというのは常に意識してやっています。その中で、前半はあまりでなかったですけど、後半は特に自分の持ち味が出せて、チームとしても上手く右から攻めれたところはあるかなと思います」

ーー後半から良くなった要因は?


「前半と後半で相手が変えてきて、左サイドの選手も代わったんですけど、後半は古橋選手が僕に付こうとして、イニエスタ選手よりも守備の意識を高めにプレイしていたので、より高い位置取ったら相手が嫌がるんじゃないかなと思っていました。自分は飯野選手ほど守備力は高くないので、その中で攻撃力で古橋選手をうまく下げてカウンターを抑えようという狙いは自分としてもあったし、チームもそれを意識してやってくれました。そういった部分で、コーナーキックから古橋選手に一発カウンターで行かれた場面はありましたけど、それ以外の流れの中からでは、チームのおかげもあって、リスク管理も攻撃によってできたかなと思います」

ーー目に見えてプレイが良くなってきていると思うが、周りの選手との関係も含めて手応えは?


「そうですね。自分の特長もわかってもらってますし、早めにボールを預けてもらえるようになったので、そこで自分のプレイも出しやすくなっています。今回右サイドに入ることになりましたが、まだまだ自分のやりたいことやチームのやりたいこと、特に前の選手との連携では課題が残ったので、そこは試合中に改善できれば良かったのですけど、これからもっと良くなると思います」

ーーチームメイトにアクシデントもありましたが、攻撃面で準備してきたことをどれぐらい出すことができたか


「全部が全部イメージしていたようにはなりませんでしたけど、どちらかというと鹿島戦のようにうまく相手の背後を取りたかったのですけど、そういう訳にもいかなかったので、チームとしてボール持ちながら前進して行くというところでは、じれずに90分間できたと思います。結果はついてこなかったのですが、内容としては悪くないチームとしての戦い方だったと思います」

後半戦はこのトリッキーなドリブラーが、好調な鳥栖をさらに加速させるかもしれない。中野の今後の活躍にも注目だ。

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