インテルに現れた元エースの面影を持つ“第4のFW” 来季はラウカクやサンチェスを脅かすか

インテルのトップチーム昇格後、初ゴールを決めたピナモンティ(中)。チームメイトたちから祝福される photo/Getty Images

今季チーム内で最も成長した選手

序盤戦こそ新型コロナウイルスによる離脱者の影響でやや苦戦を強いられたが、リーグ戦で最後に黒星を喫したのは、4ヶ月以上前の第16節サンプドリア戦(1月6日)。第20節から破竹の11連勝を飾るなど、インテルは圧倒的な強さで2020-21シーズンのセリエAを制し、11年ぶりのスクデットを手にした。

チームがここまで挙げた79ゴールのうち、半数以上に関わっているロメル・ルカク(21ゴール9アシスト)とラウタロ・マルティネス(16ゴール8アシスト)は、セリエAの歴代の中でもトップクラスのアタッカーコンビと言っても過言ではない。そして、現在のインテルはこの“ラウカク”を筆頭に、豊富な運動量や前への推進力で今季完全に覚醒したニコロ・バレッラ、圧倒的なスピードで右サイドを席巻したアクラフ・ハキミ、守備の要に返り咲いたミラン・シュクリニアルなど、20代前半から半ばぐらいの選手たちがチームの主軸となっている。そのため、こういった選手たちが長くチームに残ることとなれば、ユヴェントスに続いてインテルの時代が到来するのではないか。アントニオ・コンテ体制2年目にして、そんなことを予感させるほどの強さを発揮したシーズンだった。

タイトルの獲得やそれまでの過程は選手たちに自信をもたらし、爆発的に成長させる。特にインテルのような近年低迷を強いられ、栄光を知らない若き才能たちが豊富なクラブではなおさらかもしれない。そんな中、コンテ監督が今季チーム内で最も成長した選手を明かした。この闘将が名前を挙げたのは、2大エースの“ラウカク”でも、バレッラでも、ハキミでもなく、意外な選手だった。今季ここまで、わずか公式戦8試合の出場にとどまっているU-21イタリア代表FWアンドレア・ピナモンティだ。

現在21歳のピナモンティはイタリア代表の各年代で活躍し、2016年12月に17歳ながらインテルのトップチームデビューを飾った若き逸材。現イタリア代表監督のロベルト・マンチーニに「イタリア代表の未来」や「次世代のストライカー」と言わしめたり、インテルの下部組織の「最高傑作」と称されたりするほどだ。憧れの選手として「マウロ・イカルディ」の名前を挙げるだけあって、プレイスタイルはかつてのエースによく似ている。ゴールへの嗅覚に優れ、DFとの駆け引きも得意で、プリマヴェーラ時代には出場20試合で16ゴールという驚異的な数字を残したシーズンもあった。また、ポストプレイヤーとして攻撃の起点となることもでき、万能なアタッカーと言えるだろう。

しかし、やはりプロはそう甘くない。トップチーム昇格後はなかなか出場機会を得られず、2018-19シーズンから2シーズンにわたってレンタル移籍を経験することに。そして、昨季レンタル移籍で加入し、チームの主力となっていたジェノアへの完全移籍が昨年9月に発表されたが、その発表から1ヶ月経たずしてインテルが買い戻しオプションを行使し、愛するチームにはなんとか残留できることとなった。

ただ、残留は険しい道を意味するのも事実。“ラウカク”や経験豊富なアレクシス・サンチェスといったスター選手たちを前に、出場機会を得るのは簡単なことではないからだ。昨年末から年明けにかけて足首の怪我に悩まされた影響もあるが、ピナモンティは今季、時間にして94分しかピッチに立つことができていない。しかし、この若き逸材は苦しい間も決して腐らず、努力を怠らなかった。その結果、先日のサンプドリア戦では、インテルのトップチーム昇格後初となる待望のゴールをゲット。コンテ監督も伊『sky sport』のインタビューで、ピナモンティのこれまでの努力を認めつつ、賛辞を贈っていた。

「私は3週間前、どの選手が一番成長したかと尋ねられた。そこでアンドレア・ピナモンティの名前を挙げたと思う。彼はシーズン通して我々と一緒に努力し、彼はものすごい勢いで成長してきた。もちろん、彼はルカクやラウタロ、サンチェスを押しのけることが、簡単なことではないことを知っている。ただ、彼にも素晴らしい特長があり、素晴らしい選手になる素質も秘めているよ。彼は今季のように努力し続けなければならない。そうすれば、将来的に多くの人たちが彼のことについて話すようになるんじゃないかな」

まだまだ出場時間自体は少ないものの着実に力をつけ、その才能の片鱗を示し始めつつあるピナモンティ。才能は一級品で、コンテ監督からの信頼も厚そう。インテルにチームを更なる飛躍へと導くかもしれない“第4のFW”が現れたと言っていいのではないか。来季は、もしかしたら“ラウカク”やサンチェスを脅かす存在となるかもしれない。そのためにも、優勝が決まったことで出場機会が増えるかもしれない残りの試合で少しでも結果を残し、来季へ向けてアピールしておきたいところだ。

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