今年6月に開催が予定されているEURO2020において、栄冠を掴むのはどの国か。おそらく、筆頭候補に挙がるのは、チームとしての完成度が高いフランスやポルトガルあたりだろう。いずれもチーム全体の攻守のバランスが良く、主力も円熟期に入っている選手が多い。総合力、経験ともに充実を見せる彼らを推す人も多いはずだ。
しかし、その一方ではイングランドを推す声も少なくない。近年、優秀な若手が数多く頭角を現している同国代表。開催が1年延期となったことで、その若い世代もさらに成長を遂げている。予定通り昨年の開催ならば、優勝を狙うには少し物足りない印象もあったが、今ではフランスやポルトガルに次ぐ存在としてその地位を確立したと言えるか。
そんなイングランド若手陣のなかでも、特に存在感を増したのがチェルシーのMFメイソン・マウント(22)とマンチェスター・シティのMFフィル・フォデン(20)だ。どちらも昨季から多くの試合に出場していたが、今季さらにスケールの大きな選手となったことは間違いない。前者は今やチェルシーになくてはならない存在となり、後者は元イングランド代表DFリオ・ファーディナンド氏をして「現時点で世界最高の若手」とまで言わしめる選手に成長した。彼らの躍動する前線は、EURO出場24カ国のなかでも“最強クラス”と言っていいだろう。
「イングランドの夏は非常にエキサイティングなものになるだろうね。メイソン・マウントとフィル・フォデンは、将来的に世界でも最高の2人になると思うよ。本当に素晴らしい。彼らのプレイを見るのは非常にエキサイティングだ。(ハーランドやムバッペとの比較については)彼らも同じ場所に辿り着くことができると思うよ。マウントは脅威的、フォデンはイングランドの歴史上でも最高の選手になれる素質を備えていると私は考えている」(英『BT Sport』より)
かつてイングランド代表の一員としてプレイしたマイケル・オーウェン氏も、この2人に関してはこのようなコメントを寄せている。現時点でこそフランスやポルトガルを“追う側”と目されているイングランドだが、EUROを終えた後に立場が入れ替わっている可能性は十分にありそうだ。はたして、未来の世界最高級MFが崩しの中心を担うスリーライオンズは、欧州最高峰の舞台でどのような戦いを披露するのか。伝統国の復活を願うファンも少なくはないはずだ。