柏の攻撃を変えた“右サイドのロケット” WBでもフィニッシュに絡み続ける男

柏の右サイドで印象的なパフォーマンスを披露している北爪 photo/Getty Images

右サイドで躍動する超攻撃的WB

2021年シーズン序盤戦、深刻な得点力不足が心配されていた柏レイソル。同クラブの第5節終了時点におけるチーム得点数はわずか「2」しかなかった。加えて、完封負けは4度。崩しのアクションを起こせる選手がMF江坂任しかいないなか、柏はもがき苦しんでいた。

しかし、今の彼らに当時の面影は見えない。勝てない時期もあったが、その後の第6節から第11節までで完封負けはゼロ。特に第8節・鹿島アントラーズ戦の後半から3バックシステムを採用したことにより、チームには完全にエンジンが掛かった。その鹿島戦こそ落とすこととなったが、次節以降の3試合で3連勝。24日に行われた徳島ヴォルティス戦(◯5-1)では大量5得点を挙げて、昇格組に実力差を見せつけた。

そんな柏の攻撃を変えたキーマンは誰か。ボランチにポジションを移して躍動する仲間隼斗、復帰以降自ら積極的にアクションを起こして攻撃のリズムを作るマテウス・サヴィオ、飄々としたプレイで巧みに相手の危険なエリアに侵入する神谷優太……。候補は多い。しかし、3バックシステムを採用したことで、まさに“水を得た魚”のようになっている男がいる。右ウイングバックを任されている北爪健吾だ。
味方がボールを奪ってカウンターに転じるとなれば、必ず前線に顔を出す北爪。大外のレーンを駆け上がる基本的な動きから、前線の状況を鑑みてのインナーラップも巧みにこなす同選手は、確実に柏の攻撃に幅をもたらしていると言っていい。

加えて、味方が左サイドからのカウンターを繰り出しているときでも、北爪の攻撃参加は止まらない。まるでストライカーのように中央へと侵入し、フィニッシュの形を作り出すこともしばしば。左WBの選手が上げたクロスに合わせたのが、右WBの同選手だったなんてシーンは今季の柏ではよく見られる光景だ。たとえどんな状況でも、チャンスとあらば一目散にスプリントをかけるその姿は“右サイドのロケット”なんて表現がピッタリかもしれない。

単純に攻め上がってクロスを放り込むだけでなく、さまざまな手段を使ってチームのチャンス創出に貢献する北爪。バリエーション豊富な攻め上がりの形を持つ右WBの躍動こそ、柏の攻撃が劇的に改善された大きな要因か。超攻撃的WBが見せる威力抜群の攻め上がりには、これからも目が離せない。

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