なぜスーパースターたちはアメリカの地を目指すのか 元セリエA得点王が語る素晴らしさ

昨季は終盤戦での加入ということもあり、リーグ戦9試合出場して1ゴール2アシストだったイグアイン photo/Getty Images

その重圧から解放されたかった

デイビッド・ベッカム、ティエリ・アンリ、カカー、ダビド・ビジャ、アンドレア・ピルロ、フランク・ランパード、スティーブン・ジェラード、ウェイン・ルーニー、ズラタン・イブラヒモビッチ、バスティアン・シュバインシュタイガー……。なぜスーパースターたちはアメリカの地を目指すのか。

これまでレアル・マドリードやナポリ、ユヴェントスなど、ヨーロッパの数々の名門クラブを渡り歩いてきた元アルゼンチン代表FWゴンサロ・イグアイン。リーガ・エスパニョーラとセリエAを3度ずつ制するなど、様々なタイトルを所属クラブにもたらしており、個人としてもナポリ時代の2015-16シーズンに、66年ぶりとなる最多得点記録樹立とともにセリエAの得点王に輝いた。21世紀を代表するストライカーのひとりと言っていいだろう。

2007年に母国を離れて以降、10年以上も最高峰の舞台でありヨーロッパで活躍してきたこの世界屈指のストライカーも昨夏にユヴェントスで構想外になると、新天地にアメリカの地を選択。ニューカッスルやウォルバーハンプトンといったヨーロッパのクラブたちが興味を示していたのにもかかわらず、2020年にMLSへ参入したばかりの新興クラブであるインテル・マイアミを選んだのだ。

確かに、2018-19シーズンに1シーズンで2度のレンタル移籍を味わうなど、近年は苦戦を強いられる時期もあった。しかし、ユヴェントスへ復帰した翌2019-20シーズンには、公式戦53試合に出場して12ゴール10アシストと、ベストとまでは言えないが最低限の結果は残している。当時32歳(現在は33歳)という年齢を考えても、ヨーロッパでまだまだやれたに違いない。つまりイグアインにとっては、そんなヨーロッパでのキャリアを捨てでもアメリカの地に魅力があったということだ。

では、何がイグアインを突き動かしたのか。お金か、それともアメリカという大国への憧れか、はたまたベッカムオーナーの熱心な勧誘が断れなかったのか。先日、母国メディア『LA NACION』のインタビューでのイグアインのコメントにそのヒントが隠されていた。

「この前、私がこれまで残してきたものについて考えたことがあったんだ。求められているもの、責任、たくさんの異国の地。これら全ては、頭の中を不安定にする可能性がある。真実は、今僕は本当に本当に幸せだということ。プレッシャーや要求、報道、批判の泡を消し去りたいという、私が望んでいたもの全てを手に入れることができたからね」

「ここ(アメリカ)では、サッカーが最優先事項ではないんだ。プレッシャーが与えられる他のスポーツがある。私がゴールを決めたり、ゴールを逃したりしても、ストリートにいる人々はジャッジしない。列に並んでいるときも、普通の人のように感じることができる。これがどれほど素晴らしいことか、自分に言い聞かせることもあるよ。これが私が体験したかったことなんだ」

MLSの有名選手たちに対する給料事情は決して悪くないため、お金などの影響も多少なりともあるかもしれないが、どうやらイグアインはこれまで長年背負ってきたその重圧から解放されたかったようだ。超一流のプロサッカー選手といえども、ひとりの人間である。10年以上もプレッシャーや注目を浴び続ければ、メンタル的にしんどくなるのも当然。落ち着いた環境でサッカーに取り組めるアメリカの地は、そんな疲労を溜め込んだ心を休めるためにうってつけなのかもしれない。MLSへ参戦した歴代の名だたるスーパースターたちも、イグアインのような理由でアメリカへの移籍を選択した選手も多いのではないか。

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