“偽9番”としてのセンスも抜群か チェルシーの23歳が秘める可能性

チェルシーの前線で新たな可能性を示し始めているエイブラハム photo/Getty Images

フィルミーノのようにも振る舞える

センターフォワードを任される選手にとって、多くの場合で求められるのは得点という結果だ。一番相手ゴールに近い位置で仕事をするだけに、決定力の高さが要求されるのは当然とも言えるだろう。しかし、なかにはそれほど得点能力に秀でていなくとも、CFとして絶対的な地位を築く選手もいる。

その代表例といえば、リヴァプールのブラジル代表FWロベルト・フィルミーノだろう。決してストライカーとしての能力が劣っているというわけではないのだが、彼は徹底してチームの黒子に徹する。9番でありながら、常に周囲に気を配ってチャンスメイクをするのだ。得点数こそあまり伸びないが、彼の果たしている役割は皆理解していることだろう。ゆえに、彼に対する周囲の評価は高い。ゴールを決めずとも、CFとして生き残る道はあるということを、フィルミーノは示してみせた。

そんなフィルミーノ風のCFを、チェルシーの新鋭FWも今後意識していくべきなのだろうか。かつてマンチェスター・ユナイテッドで活躍したガリー・ネビル氏は、イングランド代表FWタミー・エイブラハム(23)にチャンスメイカーとしての才能の片鱗を見たと英『Sky Sports』へ次のように語っている。
「エイブラハムは25ゴールを奪うFWを目指す必要はない。多くても12〜15ゴール程度でいいだろう。人々は皆『チェルシーにはゴールスコアラーが必要だ』と言うから、彼にはプレッシャーがかかっている。だが、彼には別の才能があるかもしれない。リヴァプールのフィルミーノは多くのゴールを決めなくとも、誰にも批判されない。彼が何をもたらすのか、みんな理解しているからね。私はエイブラハムにも似たような才能があると思い始めているよ。この若者もまた、味方をサポートするために多くの仕事をしている。優秀なストライカーになってほしい人の気持ちもわかるが、彼にはフィルミーノと同じ資質があると思うんだ」

エイブラハムといえば、チェルシーファンの間ではチームの次世代を担う点取り屋として期待されている選手。とはいえ、現地時間21日に行われたウェストハム戦では確かにチームに決定的なチャンスを提供するシーンが目立った。43分のビッグチャンスや、最終的に自身が得点を決めた80分のシーンは、いずれも彼がボールに絡んだところから局面が開けたものだった。昨季はストライカーとして能力の高さを示したエイブラハムだが、彼は将来的にフィルミーノのようにも振る舞うことができる9番となるのだろうか。チェルシーの23歳が秘める可能性は無限大だ。

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